■目的
景気の変動、産業構造の変化その他事情により企業経営が安定を欠くに至った場
合及び労働者が事業を退職する場合における賃金の支払等の適正化を図るため、
次の措置を講じ、労働者の生活の安定に資する
(1)貯蓄金の保全措置
(2)退職手当の保全措置
(3)退職労働者の未払い賃金に係る遅延利息
(4)退職労働者に係る未払い賃金の立替払
■貯蓄金の保全措置
1.貯蓄金の保全義務
事業主は、貯蓄金の管理が労働者の預金の受け入れであるときは、厚生労働省
令で定める場合を除き、毎年3月31日における受け入れ金額について、同日後
1年間を通ずる貯蓄金の保全措置を講じなければならない
2.貯蓄金の保全措置に係る命令
労働基準監督署長は、事業主が貯蓄金の保全措置を講じないときは、文書によ
り、期限を指定して、その是正を命ずることができる
■退職手当の保全措置
事業主は、労働契約又は労働協約、就業規則その他これらに準ずるものにおいて
退職金を支払うことを明らかにしたときは、退職金に充てるべき額として貯蓄金
の保全措置に準ずる措置を講ずるように努めなければならない
*退職手当の保全措置は、「退職手当の支払に充てるべき額として厚生労働省令
で定める額」について講ずるものであって、「退職手当の全額」について講ずる
ものではない
*貯蓄金の保全は「義務」であるが、退職金の保全措置は「努力義務」である
■退職労働者の賃金に係る遅延利息
年率14.6%
遅延利息は、退職日または賃金支払期日のうち、より遅い日の翌日から計算する
■未払賃金の立替払事業
1.未払賃金の立替払
労災保険の社会復帰促進事業として行われ、独立行政法人労働者健康福祉機構
が実施する
2.立替払の事由
次にいずれかの要件を満たしている場合に、労働者からの請求によって行う
(1)事業主の要件
①破産手続き開始の決定
②特別清算開始の命令
③再生手続開始の決定
④更生手続開始の決定
⑤事業活動に著しい支障が生じたことにより、賃金を支払うことができな
い状態
(2)退職の時期の要件
次に掲げる日の6月前から2年以内に退職していること
①(1)①から④の場合、最初の破産手続き開始等の申立日
②(1)⑤の場合、最初の申請があった日
(3)未払賃金の総額の要件
基準退職日の6月前の日から請求の日の前日までに支払期日の到来したもの
で、かつ、その総額が20,000円以上あるもの
*未払退職金も立替払制度の対象となる
3.立替払の額
原則:未払賃金総額の100分の80
基準退職日の年齢に応じた上限額
(1)30歳未満・・・110万円の80%(88万円)
(2)30歳以上45歳未満・・・220万円の80%(176万円)
(3)45歳以上・・・370万円の80%(296万円)
■ご感想、ご意見、ご質問、ご依頼、ご注文等は、「コンタクト」フォームよりお願い
します。※ここをクリックすると「コンタクト」フォームへ移動します。