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労働契約法

総則

 

目的 

 

 自主的な交渉の下で、合意により成立し、又は変更されるという合意の原則に基

 づいて、合理的な労働条件の決定又は変更を通じて、労働者の保護を図りつつ、

 個別の労働関係の安定に資することを目的とする

 

定義

 

 1.労働者とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう

 2.使用者とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう

   *労基でいう「事業主」に相当し、「使用者」より狭い概念である

 

労働契約の5原則

 

 労働者及び使用者に、労働契約について

 

 1.労使対等の原則

 2.均衡考慮の原則

 3.仕事と生活の調和への配慮の原則

 4.信義誠実の原則

 5.権利濫用の禁止の原則

 

 を明らかにしている

 

 労働契約の内容の理解の促進

 1.使用者は、労働者の理解を深めるようにする

 2.労働者及び使用者は、できる限り書面で確認する

 

労働者の安全への配慮

 

 生命、身体等の安全確保に必要な配慮をする(安全配慮義務)

 

労働契約の成立及び変更

 

労働契約の成立

 

 1.合意による労働契約の成立

 

  労働者及び使用者が合意することによって成立する 

 

 2.労働契約の内容と就業規則をの関係

 

  労働契約の内容は、周知された就業規則で定める労働条件によるものとする 

 

労働契約の内容の変更

 

 1.労働契約の内容の変更

 

  合意により変更できる 

 

 2.就業規則による労働契約の内容の変更ーⅠ

 

  合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益になる労

  働条件の変更はできない

 

  *ただし、下記の事情の場合はこの限りではない

 

 3.就業規則による労働契約の内容の変更ーⅡ

 

  「就業規則の変更」が、下記の点で「合理的なものである」という要件を満たした場

  合、「合意の原則」の例外として法的効果が生じることを規定している

 

   ①就業規則の変更が、周知されている

   ②次の掲げる点に照らして合理的なものであること、

 

    ・労働者が被る不利益の程度

    ・使用者側の労働条件の変更の必要性の内容、程度

    ・変更後の就業規則の内容の相当性、代償措置、その他労働条件の改善状況

    ・労働組合等との交渉の状況、他の労働組合又は他の従業員の対応

    ・その他就業規則の変更に係る事情、一般的な状況 

 

就業規則との関係

 

 1.就業規則違反の労働契約

 

  就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分につい

  ては無効とする

  無効となった部分は、就業規則で定める基準による 

 

 2.法令及び労働協約と就業規則との関係

 

  それらの関係を表すと、

 

  法令>労働協約>就業規則>労働契約

 

  となる 

 

労働契約の継続及び終了

 

出向(在籍型出向)

 

 出向を命ずる場合、権利を濫用と認められると、その命令は無効となる

 

  これは、次の事情を考慮して判断される

 

   ・労働契約上の根拠

   ・業務上の必要性

   ・人選の妥当性

   ・労働者の受ける不利益の程度

   ・続の妥当性

   ・不当な動機、目的の不在

  

懲戒

 

 懲戒権の行使は、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認でき

 ない場合、権利の濫用として無効となる

 

  懲戒処分が有効とされるためには、一般に、次の要件を満たす必要がある

 

   ・明確性(罪刑法定主義)の原則 ー 種類及び程度等が就業規則の明記

   ・不遡及の原則

   ・二重処分禁止(一事不再理)の原則

   ・平等性(平等取扱い)の原則

   ・相当性の原理

   ・適正手続の遵守

 

解雇

 

 客観的に合理的な理由に欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その

 権利を濫用したものとして無効とする

 

期間の定めのある労働契約

 

期間の定めのある労働契約について、やむをえない事由がある場合でなければ、

 その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない

 

期間の定めのある労働契約について、その労働契約により労働者を使用する目的

 に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更

 新することがないように配慮しなければならない

 

雑則

 

船員に関する特例

 

 「就業規則違反の規約」及び「期間の定めのある労働契約」の規定は、船員法の適用を

 受ける船員に関しては適用しない

 

適用除外

 

 1.国家公務員及び地方公務員については適用しない

 2.同居の親族のみを使用する場合の労働契約については適用しない

 

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