総則
■目的等(法1条)
■社会保険労務士の責務(法1条の2)
■社会保険労務士の業務(法2条)
■資格等
登録等
■社会保険労務士試験等
1.社会保険労務士試験(法8条、法10条1項)
受験資格:大学等卒、その他行政事務等経験3年以上
毎年1回以上、厚生労働大臣が行う
2.紛争解決手続代理業務試験(法13条の3,1項)
受験資格:紛争解決手続代理業務の研修を修了した者
毎年1回以上、厚生労働大臣が行う
3.連合会による試験の実施
厚生労働大臣は、社会保険労務士試験及び紛争解決手続代理業務試験を、全
国社会保険労務士会連合会を行なわせる(試験事務及び代理業務試験事務;
合格決定の事務を除く)
4.合格の取消し等
(1)不正手段による場合の合格取り消し及び受験の禁止処置
(2)連合会は、(1)の権限を行使することができる
(3)上記処分を受けた者は3年以内の期間を定めて受験できないものとする
(4)この規定は、紛争解決代理業務試験等にも準用する
■登録等
1.登録
(1)社会保険労務士名簿に、氏名、生年月日、住所その他厚生労働省令で定め
る事項の登録を受けなければならない
(2)前項に規定する事項のほか、事務所の名称、所在地その他厚生労働省令で
定める事項の登録を受けなければならない
(3)勤務社会保険労務士は、(1)のほか、事業所の名称、所在地その他厚生労
働省令で定める事項の登録を受けなければならない
2.社会保険労務士名簿
(1)連合会が備える
(2)登録は、連合会が行う
3.登録に関する決定
(1)登録の申請を受けた場合
①資格を有すると認めたときは、遅滞なく登録する
②資格を有しないと認めたときは、登録を拒否しなければならない
③登録を拒否する場合は、資格審査会の議決に基づいて行わなければならな
い
(2)登録を拒否しようとするとき
①あらかじめ、申請者に通知し、弁明する機会を与えなければならない
(3)社会保険労務士名簿に登録したとき
①社会保険労務士証票を交付する
②拒否したときは、理由を付した書面により通知しなければならない
4.登録拒否事由
(1)懲戒処分
(2)心身の故障
(3)社会保険料等の滞納処分を受け、正当な理由なく3月以上引続き滞納して
いる者
(4)信用又は品位において適格性に欠く者
●不服の場合
(1)登録を拒否された者は、厚生労働大臣に行政不服審査法に基づく審査請求
できる
(2)申請後3月しても連合会から登録の通知がない場合、上記審査請求するこ
とができる
(3)厚生労働大臣は、連合会に対して相当の処分をすべき旨を命令しなければ
ならない
5.紛争解決手続代理業務の付記
(1)紛争解決手続代理業務試験に合格した旨の付記を受けようとするときは、
付記申請書を社会保険労務士会を経由して、連合会に提出しなければなら
ない
(2)連合会は、遅滞なく紛争解決手続代理業務の付記をしなければならない
(3)連合会は、特定社会保険労務士証票を交付しなければならない
(4)特定社会保険労務士証票の交付を受けた社会保険労務士は、遅滞なく社会
保険労務士証票を連合会に返還しなければならない
6.登録の取消し
(1)連合会は、登録を受けた者が、次の①から③に該当するときは、資格審査
会の議決に基づき登録を取り消すことができる
①登録を受ける資格に関する重要事項について、告知せず又は不実な告知を
行って登録を受けたことが判明したとき
②心身の故障に該当するようになったとき
③2年以上継続して所在が不明であるとき
(2)連合会は、①又は②に該当することになったときは、理由を付記した書面
により通知しなければならない
7.登録の抹消
(1)連合会は、次の①から④に該当したときは、遅滞なく登録を抹消しなけれ
ばならない
①申請があったとき
②死亡したとき
③登録の取消しの処分を受けたとき
④次のいずれかに該当するときとなったとき
・成年被後見人又は被保佐人
・破産者で復権を得ない者
・懲戒処分により失格処分を受けた者
・罰金以上の刑に処せられた者
・禁固以上の刑に処せられた者
・公務員で懲戒免職の処分を受けた者
・懲戒処分により、除名、登録抹消、業務禁止等の処分を受けた弁護士、
公認会計士、税理士、行政書士
(2)上記の②又は④に該当することとなったときは、法定代理人又は相続人
は、遅滞なく、連合会に届け出なければならない
8.付記の抹消
連合会は、偽りその他不正の手段により紛争解決手続代理業務の付記を受けた
ことが判明したときは、付記を抹消しなければならない
社会保険労務士の権利及び義務
■不正行為の指示等の禁止
・3年以下の懲役又は200万円以下の罰金
■信用失墜行為の禁止
・罰則の適用はない
■勤務社会保険労務士の責務
・事務の適正かつ円滑な処理に努めなければならない
■研修
・社会保険労務士会及び全国社会保険労務士連合会が研修を行う
・上記研修を受け、資質の向上を図るように努めなければならない
・事業主は、勤務社会保険労務士から研修の受講の申出があっときは、支障のな
い範囲内で受講の機会を与えるように努めなければならない
■事務所
・開業社会保険労務士は、事務所を2以上設けてはならない(厚生労働大臣の許
可を受けたときはこの限りではない)
・社会保険労務士法人の社員は、業として行うために事務所を設けてはならない
■帳簿の備付け及び保存
・開業社会保険労務士は、帳簿を備え、事件の名称、依頼年月日、報酬額、依頼
者の住所及び氏名または名称その他定められた事項を記載しなければならない
・その帳簿を関係書類と共に、帳簿閉鎖の時から2年間保存しなければならない
・上記は、開業社会保険労務士でなくなったときも同様とする
■依頼に応ずる義務
・開業社会保険労務士は、正当な理由がある場合でなければ、依頼(紛争解決手
続代理業務を除く)を拒んではならない
■秘密を守る義務
・秘密を他に漏らし、又は登用してはならない
・この義務は使用人その他従業員にも準用される
●罰則
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
■業務を行い得ない事件
(1)公務員として取り扱った事件及び仲裁手続により仲裁人となった事件
(2)特定社会保険労務士は、次に掲げる紛争解決手続代理業務を行ってはならな
い
①相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
②相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づく
と認められるもの
③受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
④相手方から協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件であって自ら
関与したもの
⑤相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づく
と認められうものであって、自ら関与したもの
■非社会保険労務士との提携の禁止
・名称の使用制限又は業務の制限の規定に違反する者から事件のあっせんを受
け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない
■報酬の基準を明示する義務
・あらかじめ、依頼者に報酬額の算定方法その他報酬の基準を示さなければなら
ない
■業務の公正保持等
・依頼を誘致するに際し、不実なことを告げ、又は故意に事実を告げない行為そ
の他不正なまたは不当な行為をしてはならない
・広告をするときは、重要事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は
実際よりも著しく優良であり、若しくは有利であると誤認させるような表示を
してはならない
■本人への通知
・事務代理等をする場合に、行政機関等から指導等が行われたときは、その内容
を本人に通知しなければならない
監督
■報告及び検査
・厚生労働大臣は、業務の適正な運営を確保するために必要と認めるときは、必
要な報告を求め、又は職員をして、事務所に立入り、質問し、若しくは帳簿書
類を検査せることができる
・当該権限は、地方厚生局長及び都道府県労働局長に委任されている
・立入り検査をしようとする職員は、身分証明書を携行し、請求があったときは
これを提示しなければならない
・報告をせず、虚偽を報告し、立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避
し、又は質問に答弁せず、若しくは虚偽を答弁した者は、30万円以下の罰金
に処せられる
■懲戒
1.懲戒の種類
①戒告
②1年以内の業務停止
③失格処分
2.不正行為の指示等を行った場合の懲戒
①厚生労働大臣は、社会保険労務士が、故意に、真正な事実に反して申請書を
作成、事務代理若しくは紛争解決手続代理業務その他規定に違反する行為等
を行ったときは、1年以内の業務停止又は失格処分をすることができる
②相当の注意を怠り、上記に規定する行為をしたときは、戒告又は1年以内の
業務停止の処分をすることができる
3.一般の懲戒
・厚生労働大臣は、虚偽の記載をしたとき、法令の規定に違反したとき、又は
重大な非行があったときは、懲戒処分をすることができる
・懲戒処分を行ったときは、遅滞なく、その理由を付した書面により通知する
とともに、官報を持って公告しなければならない
4.懲戒事由の通知等
・社会保険労務士会又は連合会は、前項に規定する行為又は事実があると認め
るときは、厚生労働大臣に対し、当該会員の指名及び事業所の所在地を並び
にその行為又は事実を通知しなければならない
・何人も、前項に規定する行為又は事実があると認めるときは、厚生労働大臣
に対し、その社会保険労務士の氏名及びその行為又は事実を通知し、適当な
措置を取るべきことを求めることができる
・当該権限は、地方厚生局長及び都道府県労働局長に委任されている
5.聴聞
・厚生労働大臣は、戒告又は業務の停止の懲戒処分をしようとするときは、聴
聞を行わなければならない
・聴聞を行うに当たっては、その期日を1週間前までに通知し、かつ聴聞の期
日及び場所を公示しなければならない
・聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない
社会保険労務士法人
■設立
・社会保険労務士は、社会保険労務士法人を設立することができる
・その名称は、「社会保険労務士法人」という文字を使用しなければならない
■社員の資格
・社員は、社会保険労務士でなければならない
・次にあげるものは社員になることができない
①業務の停止処分を受け、その期間を経過しない者
②解散又は業務停止を命じられた場合において、その処分以前30日以内にそ
の社員であった者でその処分の日から3年を経過しない者
■設立の手続
・設立には2人以上の社員が必要である
・共同して定款を定めなければならない
・政令で定めるところにより、登記しなければならない(成立要件)
■業務の範囲
・社会保険労務士の業務に規定する業務に準ずるものとして厚生労働省令で定め
る業務の全部又は一部(労働者派遣事業を含む:派遣先は開業社会保険労務士
又は社会保険労務士法人に限る)
・紛争解決手続代理業務(社員のうちの特定社会保険労務士に限る)
■社員の常駐
・社会保険労務士法人の事務所(従たる事務所も含む)には、各事務所に1人以上
の社員社会保険労務士を常駐させなければならない
■社員の競業の禁止
・法人の社員は、自己若しくは第三者のためにその法人の業務の範囲に属する業
務を行い、又は他の法人の社員となってはならない
■業務の執行方法
・社会保険労務士でない者に紛争解決手続代理業務以外の1・2号業務を行わせ
てはならない
・特定社会保険労務士でない者に、紛争解決手続代理業務を行わせてはならない
・特定社会保険労務士が常駐していな事務所では、紛争解決手続代理業務を取り
扱うことはできない
■違法行為についての処分
・厚生労働大臣は、社会保険労務士法に基づく命令に違反し、又は運営が著しく
不当と認められるときは、戒告し、若しくは1年以内の期間を定めて業務の全
部若しくは一部の停止を命じ、又は解散を命じることができる
■業務に関する権限
・法人の社員は、定款で別段の定めがある場合を除き、全ての業務を執行する権
利を有し、義務を負う
・紛争解決手続代理業務については、特定社会保険労務士である社員のみが業務
を執行する権利を有し、義務を負う
■法人の代表
・社会保険労務士の社員は、法人を代表する
但し、定款又は総社員の同意によって代表すべき者を定めることは妨げない
・紛争解決手続代理業務については、特定社員のみが、代表する
但し、特定社員の全員の同意によって代表すべき者を定めることは妨げない
■解散
・次に掲げる理由によって解散する
①定款に定める理由の発生
②総社員の同意
③他の法人との合併
④破産手続開始の決定
⑤解散を命ずる裁判
⑥厚生労働大臣による解散の命令
*社員が1人になり、6月間その社員が2人以上にならなかった場合には、その
6月を経過したとき解散する
*解散したときは、解散の日から2週間以内に、事務所の所在地の社会保険労務
士会を経由して連合会に届けなければならない
*社会保険労務士法人の解散及び清算は裁判所の監督に属する
社会保険労務士会及び全国社会保険労務士会連合会
■社会保険労務士会
1.社会保険労務士会
・厚生労働大臣の認可を受けて、都道府県にごとに、会則を定めて、1個の社
会保険労務士会を設立しなければならない
・社会保険労務士会は、会員の品位を保持し、その資質の向上と業務の改善進
歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする
2.入会及び退会
・登録を受けたときに、都道府県の区域に設立されている社会保険労務士会の
会員となる
・登録抹消事由のいずれかに該当することとなったときに、当然、退会する
3.注意勧告
・社会保険労務士会は、注意を促し、又は必要な措置を講ずべきことを勧告す
ることができる
■全国社会保険労務士会連合会
1.全国社会保険労務士会連合会
・厚生労働大臣の認可を受けて、会則を定めて、全国社会保険労務士会連合会
を設立しなければならない
・連合会は、会員の品位を保持し、その資質の向上と業務の改善進歩を図るた
め、会員の指導及び連絡に関する事務並びに登録に関する事務を行うほか、
試験事務及び代理業務試験事務を行うことを目的とする
2.意見の申出
・連合会は、厚生労働大臣に対して、制度の改善に関する意見又は諸法令の運
営の改善に関する意見を申し出ることができる
3.試験事務
罰則
■3年以下の懲役又は200万円以下の罰金(法32条)
・不正行為の指示等の禁止(法15条)
■1年以下の懲役または100万円以下の罰金(法32条の2)
・偽りその他不正な手段による社会保険労務士の登録(法14条の2、1項)
・秘密を守る義務(法21条、法27条の2)
・非社会保険労務士との提携の禁止(法23条の2)
・懲戒処分等による業務停止処分(法25条)
・業務の制限(法27条)
■100万円以下の罰金(法33条)
・帳簿の備付け及び保存の義務(法19条)
・依頼に応ずる義務(法20条)
・名称の使用制限(法26条)
■30万円以下の罰金(法35条)
・報告をせず、虚偽の報告をし、検査を拒み、妨げ、忌避する行為等
■両罰規定(法36条)
■信用失墜行為の禁止(法16条)
・罰則の適用はない
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