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平成24年第44回社労士労基法・安衛法択一式試験問題

100 点満点 ( 合格点 70 点 )

制限時間 30 分

問題 1.

労働基準法に定める賃金等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  A 1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には、控除後の額)に生じた千円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うことは、労働基準法第14条違反としては取り扱わないこととされている
  B 死亡した労働者の退職金の支払は、権利者に対して支払うこととなるが、この権利者について、就業規則において、民法の遺産相続の順位によらず、労働基準法施行規則第42条、第43条の順位による旨を定めた場合に、その定めた順位によって支払った場合は、その支払は有効であると解されている
  C 最高裁判所の判例によると、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」は、取引における一般原則たる過失責任主義とは異なる観点を踏まえた概念というべきであって、民法第536条第2項の「債権者の責めに帰すべき事由」よりも広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと解するのが相当であるとされている
  D ある会社で、労働協約により通勤費として6か月ごとに定期乗車券を購入し、それを労働者に支給している場合、この定期乗車券は、労働基準法第11条に規定する賃金とは認められず、平均賃金算定の基礎に加える必要はない
  E 裁判所は、労働基準法第20条(解雇予告手当)、第26条(休業手当)若しくは第37条(割増賃金)の規定に違反した使用者又は第39条第7項の規定による賃金(年次有給休暇中の賃金)を支払わなかった使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならい金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができることとされているが、この付加金の支払に関する規定は、同法24条第1項に規定する賃金の全額払の義務に違反して賃金を者らわなかった使用者に対しては適用されない

問題 2.

労働基準法に定める労働契約に関する次の記述のうち、正しいものはどれか

  A 労働基準法第14条第2項の規定に基づく「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(平成15年厚生労働省告示第357号)によると、期間が2か月の労働契約(あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く)を3回更新し、4回目に更新しないこととしようとする使用者は、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない
  B 労働基準法第56条の最低年齢違反の労働契約のもとに就労していた児童については、そもそも当該労働契約が無効であるから、その違反を解消するために当該児童を解雇する場合には、労働基準法第20条の解雇の予告に関する規定は、適用されない
  C 満60歳以上で薬剤師に資格を有するものが、ある事業場で3年の期間を定めた労働契約を締結して薬剤師以外の業務に就いていた場合、その者は、民法第628条の規定にかかわらず、労働基準法第137条の規定に基づき、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる
  D 使用者は、「表彰に関する事項」については、それに関する定めをする場合であっても、労働契約の締結に際し、労働者に対して、労働基準法第15条の規定に基づく明示をする必要はない
  E 派遣元の使用者は、労働者派遣法第44条第2項における労働基準法の適用に関する特例により、労働時間に係る労働基準法第32条、第32条の2第1項の規定については、派遣先の事業のみを派遣中の労働者を使用する事業とみなすとされているところから、これらの特例の対象となる事項については、労働基準法第15条による労働条件の明示をする必要はない

問題 3.

労働基準法に定める解雇等に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちのどれか。
ア 使用者が、ある労働者を整理解雇しようと考え、労働基準法第20条の規定に従って、6月1日に、30日前の予告を行った。その後、大口の継続的な仕事が取れ人員削減の必要がなくなったため、同月20日に、当該労働者に対して、「解雇を取り消すので、わが社に引き続きいてほしい。」と申し出たが、当該労働者は同意せず、それに応じなかった。この場合、使用者が解雇を取り消しているので、当該予告期間を経過した日に、当該労働者は、解雇されたのではなく、任意退職したこととなる。
イ 労働者によるある行為が労働基準法第20条第1項ただし書きの「労働者の責に帰すべき事由」に該当する場合において、使用者が即時解雇の意思表示をし、当日同条第3項の規定に基づいて所轄労働基準監督署長に解雇予告除外認定の申請をしてその翌日その認定を受けたときは、その即時解雇の効力は、当該認定のあった日に発生すると解されている。
ウ 使用者は、ある労働者を8月31日の終了をもって解雇するため、同月15日に解雇予告をする場合には、平均賃金の14日分以上の解雇予告手当を支払わなければならない。
エ 使用者が労働者を解雇しようとする日の30日前に解雇の予告をしたところ、当該労働者が、予告の日から5日目に業務上の負傷をし療養のため2日間休業した。当該業務上の負傷による休業期間は当該解雇の予告期間の中に納まっているので、当該負傷については労働基準法第19条の適用はなく、当該解雇の効力は、当初の予告通り発生する。
オ 労働基準法第89条では、就業規則のいわゆる絶対的必要記載事項として「退職に関する事項(解雇の事由を含む。)」が規定されているが、ここでいう「退職に関する事項」とは、任意退職、解雇、定年制、契約期間の満了による退職等労働者がその身分を失うすべての場合に関する事項をいう。

  A (アとイ)
  B (イとオ)
  C (ウとエ)
  D (イとエ)
  E (ウとオ)

問題 4.

労働基準法の総則に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  A 労働基準法第3条が差別禁止事由として掲げている「信条」とは、政治的信条や思想上の信念を意味し、そこには宗教上の信仰は含まれない。
  B 労働基準法第4条は、賃金についてのみ女性であることを理由とする男性との差別的取扱いを禁止したものであり、その他の労働条件についての差別的取扱いについては同条違反の問題はない。
  C 労働基準法第7条は、労働者が労働時間中に、公民権を行使するために必要な時間を請求した場合には、使用者はこれを拒んではならないとし、また、当該時間を有給扱いとすることを求めている。
  D 労働基準法に定める「使用者」とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をする監督者以上の者を言う。
  E 労働基準法の定める「平均賃金」とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者日して支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいい、年に2回6か月ごとに支給される賞与が当該3か月の期間内に支給された場合には、それも算入して計算される。

問題 5.

労働基準法に定める労働時間等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  A 使用者は、1日の労働時間が8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならず、1日の労働時間が16時間を超える場合には少なくとも2時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
  B 労働基準法第34条に定める休憩時間について、事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を損なわない限り差し支えない。
  C 労働基準法第35条に定める休日は、原則として暦日を意味するものと解されており、例えば、午前8時から翌日の午前8時までの労働と、同じく午前8時から翌日の午前8時までの非番を繰り返す一昼夜交代勤務の場合には、非番の継続24時間の間労働義務がないとしても、同条の休日を与えたものとは認められない。
  D 労働基準法第36条は、時間外又は休日労働を適法に行わせるための手続きを規定したものであるから、時間外又は休日労働命令に服すべき労働者の民事上の義務は、同条に定めるいわゆる36協定から直接当然生じるものではない。
  E 労働基準法第36条に定めるいわゆる36協定は、これを所轄労働基準監督署長に届け出て始めて使用者が労働者に適法に時間外又は休日労働を行わせることを可能にするのであって、法定労働時間を超えて労働させる場合、たんに同協定を締結したのみでは、労働基準法違反の責めを免れない。

問題 6.

労働基準法に定める年次有給休暇に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

ア 労働基準法第39条に定める年次有給休暇の利用目的は同法の関知しないところであり、労働者の病気療養のために年次有給休暇を利用することもできる。
イ 労働基準法第39条に定める年次有給休暇について、労働者と使用者の間でその日数に相当する金銭を支給する年次有給休暇の買上げ予約がなされた場合、それが労働者の自由な意思によってなされたと認められるときには、これに基づいて当該金銭を使用者が労働者に支給することによって、年次有給休暇は消化されたものとされる。
ウ 労働基準法39条に定める有給休暇権の発生要件の1つである「継続勤務」は、勤務の実態に即し実質的に判断すべきものと解される。したがって、この継続勤務時間の算定に当たっては、例えば、企業が解散し、従業員の待遇等を含め権利義務期間が新会社に包括継承された場合は、勤務年数を通算しなければならない。
エ 労働基準法第39条に定める年次有給休暇は、暦日単位で付与されなければならないため、時間単位で付与することは認められない。
オ 労働者が長期かつ連続の年次有給休暇を取得しようとする場合には、使用者との事前の調整を経なければ、時季指定権を行使することはできない。

  A (アとウ)
  B (アとオ)
  C (イとエ)
  D (イとオ)
  E (ウとエ)

問題 7.

労働基準法に定めるる就業規則等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  A 労働基準法によれば、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、退職手当に関する事項を就業規則に必ず記載しなければならないとされており、また、期間の定めのない労働契約によって雇用される、勤続期間が3年以上の労働者に対して退職手当を支払わなければならない。
  B 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、それがない場合においてjは労働者の過半数を代表する者の意見を記した書面を添付して、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。
  C 厚生労働大臣または都道府県知事は、法令又は労働協約に抵触する就業規則の変更を命じることができる。
  D 労働基準法106条に定める就業規則の周知義務については、労働契約の効力に係る民事的な定めであり、それに違反して罰則が科されることはない。
  E 労働基準法第15条により、使用者が労働契約を締結に際し書面で行うこととされている労働条件の明示については、当該労働条件を記載した就業規則を公布することではその義務を果たすことはできない。

問題 8.

労働安全衛生法に関する次の記述のうち、造船業を除く製造業の元方事業者がその労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われる場合に、法令の規定により講ずることが義務付けられている措置として、正しいものはどれか。

  A 元方事業者及びすべての関係請負人が参加する協議組織の設置及び運営を行うこと。
  B 関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育を行う場所の提供、当該教育に使用する資料の提供などを行うこと。
  C 統括安全衛生責任者を選任すること。
  D つり上げ荷重が1トンのクレーンを用いて行う作業であるときは、当該クレーンの運転についての合図を統一的に定めること。
  E 元方安全衛生管理者を選任すること。

問題 9.

労働安全衛生法の安全衛生管理体制に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

  A 常時120人の労働者を使用する清掃業の事業場の事業者は、総括安全衛生管理者を選任する義務があるが、当該事業場においてその事業の実施を統括管理するものであれば、他の資格等を有していない場合であっても、その者を総括安全衛生管理者に選任し、当該事業場の労働災害を防止するために必要な業務を統括管理させることができる。
  B 常時70人の労働者を使用する建設業の事業場の事業者は、安全管理者を選任する義務があるが、高等学校において理科系等の正規の学科を修めて卒業し、その後5年間産業安全の実務に従事した経験を有する当該事業場の労働者で厚生労働大臣の定める安全に係る技術的事項を管理するのに必要な知識についての研修を修了した者であれば、他の資格等を有していない場合であっても、その者を安全管理者に選任し、当該事業場の安全に係る技術的事項を管理させることができる。
  C 常時60人の労働者を使用する製造業の事業場の事業者は、衛生管理者を選任する義務があるが、第二衛生管理免許を有する当該事業場の労働者であれば、他の資格等を有していない場合であっても、その者を衛生管理者に選任し、当該事業場の衛生に係る技術的事項を管理させることができる。
  D 常時30人の労働者を使用する運送業の事業場の事業者は、安全衛生推進者を選任する義務があるが、安全衛生推進者養成講習を修了した当該事業場の労働者であれば、他の資格等を有していない場合であっても、その者を安全衛生推進者に選任し、当該事業場の労働災害を防止するため必要な業務を担当させることができる。
  E 常時50人の労働者を使用する自動車整備業の事業場の事業者は、産業医を選任する義務があるが、厚生労働大臣の指定する者が行う労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識についての研修を修了した医師であれば、他の資格等を有していない場合であっても、その者を産業医に選任し、当該事業場の労働者の健康管理等を行わせることができる。

問題 10.

労働安全衛生法の労働者の危険又は健康障害を防止するための措置等に関する次の記述のうち、同法の規定により義務付けられている措置として、誤っているものはどれか。

  A 注文者は、その請負人に対し、当該仕事に関し、その指示に従って当該請負人の労働者を労働させたならば、労働安全衛生法又は同法に基づく命令の規定に違反することとなる指示をしてはならない。
  B 不整地運搬車を相当の対価を得て業として他の事業者に貸与する者は、所定の除外事由に該当する場合を除き、当該
  C 工場の用に供される建築物を他の事業者に貸与する者は、所定の除外事由に該当する場合を除き、当該建築物の貸与を受けた事業者の事業に係る当該建築物による労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
  D 電気工作物を設けている者は、当該工作物の所在する場所又はその付近で工事その他の仕事を行う事業者から、当該工作物による労働災害の発生を防止するためにとるべき措置についての教示を求められたときは、これを教示しなければならない。
  E 重量が1つで0.5トンである貨物を発送しようとする者は、所定の除外事由に該当する場合を除き、当該貨物に見やすく、かつ、容易に消滅しない方法でその重量を表示しなければならない。

 

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