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平成19年第39回社労士労基法・安衛法択一式試験問題

100 点満点 ( 合格点 70 点 )

制限時間 30 分


問題 1.

労働基準法の総則等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  A いわゆる在籍型出向の労働者については、出向元及び出向先の双方とそれぞれ労働契約関係があるので、出向元及び出向先に対しては、それぞれ労働契約関係が存する限度で労働基準法の適用がある。すなわち、出向元、出向先及び出向労働者三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じて出向元の使用者又は出向先の使用者が出向労働者について労働基準法における使用者としての責任負うものである。
  B 労働基準法でいう[労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事業所に使用される者で賃金を支払われる者をいい、法人のいわゆる重役で業務執行権又は代表権を持たないものが、工場長、部長の職にあって賃金を受ける場合は、その限りにおいて同法第9条に規定する労働者である。
  C 会社から給料を受けず、その所属する労働組合より給料を受ける組合専従職員の労働関係については、使用者が当該専従職員に対し在籍のまま労働提供の義務を免除し、労働組合の事務に専従することを認める場合には、労働基準法上当該会社との労働関係は存続するものと解される。
  D 使用者は、労働者が、労働基準法第36条第1項等に規定する労働者の過半数を代表する者(以下「過半数代表者」という)であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取り扱いをしないようにしなければならない。
  E 均等待遇を定めた労働基準法第3条では、労働者の国籍、信条、性別又は社会的身分を理由として賃金、労働時間その他の労働条件について差別的な取扱をすることは禁止されている。

問題 2.

労働基準法に定める賃金等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  A 労働基準法上、賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいうとされているが、使用者が労働者に支払うものであっても、実費代償として支払われる旅費は、賃金でははない。
  B 労働者が法令の定めにより負担すべき社会保険料を使用者が労働者に代わって負担する場合は、労働者の福利厚生のために使用者が負担するものであるから、この使用者が労働者に代わって負担する部分は、労働基準法第11条の賃金には該当しない。
  C 解雇予告手当(労働基準法第20条の規定に基づき、解雇予告に代えて支払われる賃金をいう。以下同じ。)
  D 労働基準法第26条に規定に基づき、使用者が、その責めに帰すべき事由による休業の場合に支払わなければならない休業手当は、同法11条の賃金と解される。したがって、同法第24条第2項が適用され、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。
  E 労働協約、就業規則、労働契約とによって予め支給条件が明確である場合の退職手当は、労働基準法第11条の賃金であり、同法第24条第2項の「臨時の賃金等」に当たる。

問題 3.

労働基準法に定める平均賃金、割増賃金等に関する記述のうち、正しいものはどれか。なお、以下の設問において、時間外労働が1箇月について60時間超える場合は、考慮しないものとする。

  A 平均賃金は、原則として、これを算定すべき事由が発生した日以前3か月間にその労働者に対して支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除して算定するものとされているが、賃金がいわゆるパートタイマーに多く見られるように労働した時間によって算定される場合には、その金額は、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60を下ってはならないこととされている。
  B 平均賃金の計算においては、業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間、産前産後の女性が労働基準法第65条の規定によって休業した期間、使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間、育児休業、介護休業等育児又は家族介護行う労働者の福祉に関する法律(以下「育児介護休業法」という。)の規定によって育児休業若しくは介護休業をした期間又は子の看護休業を取得した期間及び試みの使用期間については、その日数及びその期間中の賃金を労働基準法12条第1項及び第2項に規定する期間及び賃金の総額から控除する。
  C 労働基準法第37条第5項及び労働基準法施行規則第21条の規定によって、割増賃金の計算の基礎となる賃金には家族手当、住宅手当等は算入されないこととされており、例えば、賃貸住宅の居住者には3万円、持家の居住者には1万円というように、住宅の形態ごとに一律に定額で支給することとされている手当は、同規則第21条でいう住宅手当に該当し、同法第37条の割増賃金の基礎となる賃金に算入しない
  D 始業時刻が午前8時、終業時刻が午後5時、休憩時間が正午から午後1時までの事業所において、残業を行い、翌日の法定休日の午前2時まで勤務したとき、午後5時から午後10時までは通常の労働時間又は労働日の賃金の2割5分以上の割増賃金、午後10時から翌日の午前2時までは6割以上の割増賃金を支払わなければならない
  E 割増賃金の計算の便宜上、1日における時間外労働、休日労働及び深夜労働の各時間数に1時間未満の端数がある場合は、1日ごとに、30分未満の端数を切り捨て、30分以上の端数を1時間に切り上げて計算する措置は、法違反として取り扱わないこととされている

問題 4.

労働基準法に定める解雇等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  A 使用者は、労働基準法第64条の規定により、満18才に満たないものが解雇の日から30日以内に帰郷する場合においては、一定の場合を除き、必要な旅費を負担しなければならない。
  B 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のため休業している労働者については、使用者が、労働基準法81条の規定によって打切り補償を支払った場合(労働者災害補償保険法第19条の規定によって打切補償を支払ったとみなされた場合を含む)又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となりその事由について行政官庁の認定を受けた場合には、労働基準法第19条第1項の規定による解雇制限は適用されない。
  C 使用者が労働基準法第20条所定の予告期間を置かず、又は解雇予告手当の支払いをしないで労働者に解雇の意思表示をした場合には、その意思表示をどのように受け取るかは労働者の選択にまかされていると解するのが相当であるから、労働者は同条所定の解雇の予告がないとしてその無効を主張することができ、又は解雇の無効を主張しないで解雇予告手当の支払いを請求することができるとするのが最高裁判所の判例である。
  D ある使用者が、その期間が3か月の労働契約を2回更新し、3回目を更新しないとした。その場合には、労働基準法第14条第2項の規定に基づく「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」によれば、少なくとも当該契約の期間の満了する30日前までに、その予告をしなければならない。
  E 季節業務に8月25日から10月30日までの雇用期間を定めて雇い入れた労働者を、使用者が、やトイレ後1カ月経過した日において、やむを得ない事由によって解雇しようとする場合には、解雇の予告に関する労働基準法第20条の規定が適用される。

問題 5.

労働基準法に定める労働時間等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  A 訪問介護事業に使用される者であって、月、週又は日の所定労働時間が、一定期間ごとに作成される勤務表により非定型的に特定される短時間労働者が、事業場、集合場所、利用者宅の相互間を移動する時間については、使用者が、訪問介護の業務に従事するため必要な移動を命じ、当該時間の自由利用が労働者に保証されていないと認められる場合には、労働時間に該当する。
  B 労働基準法第32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、実作業に従事していない仮眠時間が労働基準法上の労働時間に該当するか否かは、労働者が実作業に従事していない仮眠時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものというべきであるとするのが最高裁判所の判例である。
  C 使用者は、労働基準法第109条の規定に基づき一定の労働関係に関する重要な書類を保存しなければならないこととされており、タイムカード等の記録、残業命令書及びその報告書など労働時間の記録に関する書類は、同条でいう「その他労働関係に関する重要な書類」に該当し、使用者は、これらの書類を5年間保存しなければならない。
  D 1か月単位の変形労働時間制を採用した場合、変形期間を平均して1週間当たりの労働時間が週法定労働時間以内となるようにするために行う、変形期間における所定労働時間の総枠の計算は、次の式によって行われる。 その事業場の週法定労働時間×変形期間の歴日数÷7
  E 労働基準法第38条の3に規定するいわゆる専門業務型裁量労働制を採用しようとする場合において、労働時間の算定については労使協定で定めるところによることとした場合に、当該協定に定めるべき時間は、1日当たりの労働時間であり、休憩、深夜業及び休日に関する規定の適用は排除されないので、法定休日に労働させて場合には、当該休日労働に係る割増賃金を支払う必要がある。

問題 6.

労働基準法に定める年次有給休暇に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  A 使用者は、その事業場に、同時に採用され、6ヶ月間継続勤務し、労働基準法第39条所定の要件を満たした週の所定労働時間20時間(勤務形態は1日4時間、週5日勤務)の労働者と週の所定労働時間30時間(勤務形態は1日10時間、週3日勤務)の労働者の2人の労働者がいる場合、両者には同じ日数の年次有給休暇を付与しなければならない。
  B 労働基準法第39条の年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは、労働者の自由であるが、ある事業場の労働者が、同じ企業に属する他の事業場における争議行為に年次有給休暇を届け出て参加する場合は、年次有給休暇に名をかりた同盟罷業にほかならないから、それは年次有給休暇の行使ではない。
  労働基準法に定める妊産婦等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  C 年次有給休暇の取得の要件である出勤率の算定においては、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間、育児介護休業法に規定する育児休業又は介護休業をした期間のほか、産前産後の女性が労働基準法第65条の規定によって休業した期間は、出勤したものとみなされる。
  D 年次有給休暇の斉一的取扱い(原則として全労働者につき一律の基礎日を定めて年次有給休暇を与える取扱いをいう。)を行っている事業場において、毎年1月1日を基準日として年次有給休暇を与えている場合に、10月1日入社労働者に翌年1月1日の基準日に労働基準法所定の年次有給休暇を付与する場合には、10月1日から12月31日までの期間については、その期間における出勤の実績により計算し、1月1日から3月31日までの期間については、全期間を出勤したものとみなして計算しなければならない。
  E 年次有給休暇の付与要件である「全労働日の8割以上出勤」における全労働日の日数は、就業規則その他によって定められていた所定休日を除いた日をいう。したがって、所定の休日に労働させたとしてもその日は全労働日及び正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日については、ここでいう労働日に含まれない。

問題 7.

労働基準法に定める妊産婦等に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

  A 使用者は、労働基準法第65条第2項の規定により、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならないが、同法41条第2号に規定する監督または管理の地位にある女性及び産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障ないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
  B 使用者は、労働基準法第65条第3項の規定により、妊娠中の女性及び産後1年を経過していない女性(以下「妊産婦」という。)が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。
  C 妊娠中の女性は、労働基準法第65条第3項による軽易な作業への転換の請求及び同法66条第3項による深夜業をさせないことの請求のいずれか一方又は双方を同時に行うことができる。
  D 使用者は、労働基準法第66条第2項の規定により、妊産婦が請求した場合においては、同法第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働又は休日労働をさせてはならないが、この第66条第2項の規定は、同法第41条第2号に規定する監督または管理の地位にある妊産婦にも適用される。
  E 労働基準法第67条第1項においては、「生後満1年に達しない生児を育てる女性は、第34条の休憩時間のほか、労働時間の途中において、1日2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求することができる。」と規定されている。

問題 8.

労働安全衛生法に定める総括安全衛生管理者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  A 製造業に属する事業者は、総括安全衛生管理者を、常時100人以上の労働者を使用する事業場ごとに選任しなければならない。
  B 総括安全衛生管理者は、厚生労働大臣の定める研修を修了した者のうちから選任しなければならない。
  C 総括安全衛生管理者は、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者又はこれに準ずるものを持って充てなければならない。
  D 都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認める時は、総括安全衛生管理者の業務の執行について事業者にその改善を命令することができる。
  E 事業者は、総括安全衛生管理者に、労働安全衛生法第28条の2第1項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関することを統括させなければならない。

問題 9.

労働安全衛生法に基づく安全衛生管理体制及び安全衛生教育に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  A 労働者がその事業における派遣就業のために派遣されている派遣先の事業を行う者(以下「派遣先事業者」という。)は、派遣中の労働者が安全又は衛生に関し経験を有するものであれば、当該派遣中の労働者を、それぞれ安全委員会若しくは衛生委員会の委員に指名し、又は安全衛生委員会の委員に指名することができる。
  B 派遣中の労働者に関して総括安全衛生管理者、衛生管理者、安全衛生推進者又は衛生推進者及び産業医の選任並びに衛生委員会の設置の義務は、派遣先事業者のみに課せられており、当該事業場の規模の算定にあたっては、派遣先の事業について、派遣中の労働者の数を含めて、常時使用する労働者の数を算出する。
  C 派遣中の労働者に関しての安全管理者の選任の義務及び安全委員会の設置の義務は、派遣元の事業の事業者(以下「派遣元事業者」という。)のみに課せられているが、当該事業の規模の算定に当たっては、派遣元の事業場について、派遣中の労働者の数を含めて、常時使用する労働者の数を算出する。
  D 労働安全衛生法第59条第1項の規定に基づくいわゆる雇い入れ時の安全衛生教育の実施の義務は、派遣先事業者及び派遣元事業者の双方に課せられている。
  E 労働安全衛生法第59条第2項の規定に基づくいわゆる作業内容変更時の安全衛生教育の実施の義務は、派遣先事業者のみに課せられている。

問題 10.

労働安全衛生法に定める健康診断、面接指導に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  A 労働安全衛生法第66条の8第1項に規定するいわゆる長時間労働に対する面接指導に関し、産業医は、所定の要件に該当する労働者に対して、面接指導の申出を行うように勧奨することができる。
  B 事業者は、労働安全衛生規則に基づいて作成すべき健康診断個人票を、5年間保存しなければならない。
  C 事業者は、いわゆるパートタイム労働者に対しても、当該労働者が、期間の定めのない労働契約により使用され、その者の1週間の労働時間すが当該事業場において同種の業務従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上である場合には、労働安全衛生法第66条に規定する健康診断を実施しなければならない。
  D 健康診断において、ある労働者が要再検査又は要精密検査と診断された場合、再検査又は精密検査は、診断の確定や症状の程度を明らかにするものであり、一律には事業者にその実施が義務付けられているものではないが、有機溶剤中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則に基づく特殊健康診断として規定されているものについては、事業者にその実施が義務付けられているので、その責任において行わなければならない。
  E 事業者は、労働者を本邦以外の地域に6か月以上派遣しようとするとき又は本邦外の地域に6か月以上派遣した労働者を本邦地域内における業務に就かせる時(一時的に就かせるときを除く。)は、当該労働者に対し、所定の項目のうち医師又は歯科医師が必要であると認める項目について、医師又は歯科医師による健康診断を行わなければならない。