総則
■目的(法1条)
賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保証することにより、労働条件の
改善を図り、もって、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な
競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とす
る
*臨時雇用労働者、パートタイマー、アルバイトはもちろん不法就労の外国人労
働者であっても最低賃金法は適用される
■最低賃金(法3条)
最低賃金は、時間によって定めるものとする
■最低賃金の効力
1.最低賃金以上の賃金支払義務
(1)最定賃金額以上を払わなければならない
(2)労働契約で最低賃金に達しない賃金の定は、その部分については無効とす
る無効となった部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす
2.除外賃金
(1)臨時に支払われる賃金及び1月を超える期間ごとに支払われる賃金
(2)通常の労働時間又は労働日の賃金以外の賃金で以下のもの
①時間外割増賃金等
②休日割増賃金等
③深夜割増賃金等
(3)精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
*職務手当、役付手当、資格手当、技能手当等の通常賃金は算入する
3.時間額への換算
賃金が時間以外の期間又は出来高払い制その他の請負制によって定められてい
る場合は、時間についての金額に換算して適用する
■最低賃金の減額の特例
都道府県労働局長の許可を受けたときは、次に掲げる労働者については、労働能
力その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める率を乗じて得た額を減額した額
により最低賃金の効力の規定を適用する
(1)精神又は身体の障害のより著しく労働能力の低い者
(2)試の試用期間中の者
(3)認定職業訓練の基礎的な技能及び知識を習得を受ける者
(4)軽易な業務又は断続的労働に従事する者
1.減額適用者の最低賃金の算式
最低賃金-(最低賃金額×減額率)
2.最低賃金の減額率
(例)試の期間中の者 100分の20
*「所定労働時間の特に短い者」や「高齢により著しく労働能力の低い者」は、
最低賃金の減額の特例の対象とはされていない
■周知義務
最低賃金の概要を、常時作業場の見やすい場所に掲示し、又はその他の方法で、
労働者に周知させる措置を取らなければならない
地域別最低賃金
■地域別最低賃金の原則
1.あまねく全国各地域について決定されなければならない
2.労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して定める
3.労働者の生計費を考慮するに当たっては、労働者が健康で文化的な最低限の
生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性を配慮するも
のとする
■地域別最低賃金の決定
1.厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、一定地域ごとに、中央最低賃金審議
会又は地方最低賃金審議会の調査審議を求め、その意見を聞いて地域別最低
賃金の決定をしなければならない
2.最低賃金審議会の意見により難いと認めるときは、理由を付して最低賃金審
議会に再審議を求めなければならない
*地方最低賃金審議会は、都道府県労働局長の諮問に応じて調査審議し、必要と
認める事項を都道府県労働局長に建議することができる
特定最低賃金
■特定最低賃金の決定等
1.労働者又は使用者の全部または一部を代表する者は、厚生労働大臣又は都道
府県労働局長に対し、特定最低賃金の改正又は廃止の決定をするよう申し出
ることができる
2.厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、前項の申出があった場合、必要と認
めるときは、最低賃金審議会に調査審議を求め、その意見を聴いて、特定最
低賃金の決定又は改正若しくは廃止を決定することができる
3.厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、その意見により難いと認めるとき
は、理由を付して、最低賃金審議会に再審議を求めなければならない
*特定最低賃金において定める最低賃金額は、地域について決定された地域別最
低賃金において定める最低賃金額を上回るものでなければならない
雑則等
■最低賃金の競合
1.2以上の最低賃金の適用を受ける場合、その定める最低賃金額のうち最高の
ものによる
*2以上の最低賃金を比較し、特定最低賃金が適用される場合であっても、地域
別最低賃金を下回る賃金しか支払わなかった場合、最低賃金の効力違反として
50万円以下の罰金の対象となる
■派遣中の労働者の最低賃金
1.派遣先の所在地を含む地域について決定された地域別最低賃金を適用する
2.特定最低賃金が適用される場合にあっては、その賃金額を適用する
■船員に関する特例
1.地域別最低賃金は適用しない
2.交通政策審議会等が行う
■監督機関に対する申告
1.労働者は、違反する事実があるときは、都道府県労働局長、労働基準監督署
長又は労働基準監督官に申告して是正を求めることができる
2.使用者は、申告したことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしては
ならない
■罰則
1.監督機関に対する申告の規定違反
6月以上の懲役または30万円以下の罰金
2.最低賃金以上の賃金支払義務違反
50万円以下の罰金
3.次のいずれかの場合
(1)周知義務違反
(2)報告をせず、又は虚偽の報告
(3)立ち入り検査を拒み、妨げ、忌避し、又は陳述せず、若しくは虚偽の陳述
30万円以下の罰金
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