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労働基準法 ー 賃金

 

賃金の保障

 

 1.休業手当(法26条)

 

  使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中

  当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならな

  い。

 

   1)趣旨

 

    民法の最低生活保障が不十分であることを踏まえ、平均賃金の100分の60ま

    でを保障しようとする強行規定である

 

   2)休日の休業手当

 

    労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日について

    は、休業手当を支給する義務はない

 

   3)休業手当の支払期日

 

    賃金として法第24条第2項に沿って所定賃金支払日に支払うべきものとする

 

   4)休業期間が1労働日に満たない場合の休業手当の額

 

    就労した時間に対して支払われる賃金が平均賃金の100分の60に満たない場

    合は、その差額を支払わなければならない

 

   5)派遣労働者の休業手当支払いの要否

 

    使用者に責に帰すべき事由があるかどうかは、派遣元の使用者に関してなさ

    れる

 

   6)使用者の責に帰すべき事由

 

該当するもの 該当しないもの

・経営障害(材料不足・輸出不振・

資金難・不況など)による休業

・解雇予告又は解雇予告手当の支払

なしに解雇した場合の予告期間中の

休業

・新規学卒採用内定者の自宅待機

・天災地変等の不可抗力による休業

・労働安全衛生法の規定による健康

診断に基づく休業

・ロックアウトによる休業(社会通念

上正当と認められるものに限る)

・代休付与命令による休業

 

   参考

 

   ●下請工場の資材、資金難による休業

 

    親会社からのみの資材資金の供給を受けている下請工場で、所要の供給を受

    けることができず、しかも他からも獲得できないで休業した場合は、法第26

    条に該当する

 

   ●作業所閉鎖と休業

 

    使用者側が労働者側の争議行為に対抗した作業所閉鎖は、法第26条の「使用

    者の責に帰すべき事由による休業」とは認められない

 

   ●一部ストの場合の他の労働者の休業

 

    一部ストの限度を超えて休業させた場合、法第26条に該当する

 

   ●代休付与命令による休業

 

    法第26条に該当しない

 

   ●労働安全衛生法第66条の健康診断の結果に基づいて休業又は労働時間を短縮

    した場合

 

    結果に基づいて適正に行った場合は、法第26条に該当しないと認められる

    が、結果を無視して行った場合は、抵触する恐れがある

 

   ●新規学卒採用内定者の自宅待機

 

    解約権を留保した労働契約が成立したとみられる場合、法第26条で定める休

    業手当を支給すべきと解される

 

   ●予告なしに解雇した場合の休業手当

 

    使用者の行った解雇の意思表示が解雇の予告として有効と認められ、かつ、

    その解雇の意思表示があったために予告期間中労働者が休業した場合は、解

    雇が有効に成立する日までの期間、休業手当を支払わなければならない

 

   判例

 

   ●部分スト不参加者の賃金と休業手当

 

    民法第536条第2項の概念より広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害

    を含むものと解するのが相当である

 

   ●バックペイの中間利益

 

    解雇期間中の賃金を支払うにあたり、解雇された労働者が解雇期間中に他の

    職について利益(中間利益)を得たときは、その額を控除できるが、平均賃金

    の6割に達するまでの部分については利益控除の対象とすることが禁止され

    ている

 

 2.出来高払制の保障給(法27条)

 

  出来高払制その他請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応

  じ一定額の賃金の保障をしなければならない

 

   趣旨

 

    出来高が少ない場合でも、労働した時間に応じて一定額の保障を行うべきこ

    とを使用者に義務付けている

 

    使用者がその支払いを義務付けられるのは、例えば、材料不足のため多くの

    待ち時間を費やして出来高が減少したとか、あるいは原料粗悪のため出来高

    が減少したといった場合のように、その実収賃金が低下した場合である

    

   参考

 

    通常の実質賃金と余りへだたらない程度の収入が保障されるように保障給の

    額を定めること

 

    賃金構成からみて固定給の部分が賃金総額中の大半(概ね6割程度以上)を占め

    ている場合には、本条には該当しない

 

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