■任意加入被保険者
1.任意単独被保険者
(1)任意単独被保険者の要件
①適用事業所以外の事業所で使用される70歳未満の者は、厚生労働大臣の
認可を受けて、被保険者となることができる
②事業所の事業主の同意を得なければならない
(2)資格取得の時期
厚生労働大臣の認可があった日
(3)資格喪失の時期
①死亡したときは、その翌日
②使用されなくなったときは、その翌日
③資格喪失の認可があったときは、その翌日
④適用除外の規定に該当するに至ったときは、その翌日
⑤70歳に達したときは、その日
*資格の喪失のときは、事業主の同意は不要である
2.高齢任意加入被保険者
(1)高齢任意加入被保険者の種類等
70歳以上であっても老齢又は退職お支給事由とする年金たる給付であって
政令で定める者の受給権を有していない者については、受給権が発生するま
での間、厚生年金保険に加入する道が開かれている
①その種類は、次の2つに大別される
1)適用事業所以外に使用される高年齢任意加入被保険者
2)適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者
②注意点(2つに共通するもの)
1)年齢に上限は設けられていない(年齢を理由として資格を喪失すること
もない)
2)第4種被保険者及び船員任意継続被保険者については高齢任意加入被保
険者の規定は適用されない
*老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定めるもの
老齢厚生年金等、老齢基礎年金等その他
(2)適用事業所以外の事業所に使用される高齢任意加入被保険者
①資格取得の要件
1)厚生労働王大臣の認可を受けて被保険者となる
認可を受けるためには被保険者の報酬月額など必要事項を記載した申請
書を機構に提出しなければならない
2)前項の認可を受けるには事業主の同意を得なければならない
*同意した事業主には、届出義務の他、保険料の半額負担義務及び納付義務
が生じる
●平成14年3月31日から当然被保険者の年齢が65歳未満から70歳未満に引
き上げられたことにより、それまでの高齢任意単独加入被保険者はその資
格を喪失し、同日に任意単独被保険者の資格を取得することとなった
②資格取得の時期
認可があった日に被保険者の資格を取得する
③資格喪失の時期
次の日に被保険者の資格を喪失する
1)死亡したときはその翌日
2)使用されなくなったときはその翌日
3)資格喪失の認可があったときはその翌日
4)適用除外に該当するに至ったときはその翌日
5)老齢基礎年金等の受給権を取得したときはその翌日
ただし、2)から5)で当該日に他の被保険者資格を取得したときはその日
(3)適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者
①資格取得の要件
厚生労働大臣に申し出て被保険者となることができる(厚生労働大臣の認
可と事業主の同意は要しない)
また、事業主が保険料の半額負担し、かつ、その納付義務を負うことにつ
いて同意したときの除いて、被保険者が保険料を全額負担し、かつ、その
納付義務を負う
1)同意の撤回
事業主は高齢任意加入被保険者の同意を得て、将来に向かって保険料の
半額負担及び納付義務について同意を撤回することができる(当該撤回
によって高齢任意加入被保険者の資格は喪失しない)
同意したとき又は同意を撤回したときは、10日以内に同意届及び同意
撤回届を機構に提出しなければならない(同意撤回届には被保険者の同
意を得たことを証する書類を添付しなければならない)
2)定時決定等の届出
3)厚生年金基金の設立されている適用事務所の場合、事業主が保険料の半
額負担と納付に同意すれば、高齢任意加入被保険者も厚生年金基金の加
入員となる
4)平成14年3月31日の適用年齢を65歳未満から70歳未満に引き上げに関
する経過措置の適用
②資格取得の時期
1)任意加入の申出が受理された日に被保険者の資格を取得する
2)初めて納付すべき保険料を滞納し、督促状の指定期限までに納付しな
いときは、高齢任意加入被保険者にならなかったものとみなされる(保
険料等について事業主の同意がある場合はこの限りではない)
③資格喪失の時期
次の日に被保険者資格を喪失する(ただし、2)から6)で当該日に他の被保
険者資格を取得したときはその日に喪失する)
1)死亡したときはその翌日
2)使用されなくなったときはその翌日
3)任意適用事業所の適用取消しの認可があったときはその翌日
4)適用除外に該当するに至ったときはその翌日
5)老齢基礎年金等の受給権を取得したときはその翌日
6)資格喪失の申出が受理されたときはその翌日
7)事業主の同意があるときを除いて、保険料(初めて納付すべき保険料を
除く)を滞納し、督促状の指定期限までに納付しないときは、納期限の
属する月の前月の末日
*適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者はいつでも厚生労大臣に申
し出て被保険者の資格を喪失することができる
■任意単独被保険者及び高齢任意加入被保険者の比較
任意単独被保険者 |
高齢任意加入被保険者 (法附則4条の5) |
高齢任意加入被保険者 (法附則4条の3) |
|
対象者 |
適用事業所以外の 事業所に使用される 70歳未満の者 |
適用事業所以外の 事業所に使用される 70歳以上の者で老齢 等の年金の受給権を 有しない者 |
適用事業所に使用され る70歳以上の者で老齢 等の年金の受給権を有 しない者 |
手続等 | 厚生労働大臣の認可及び事業主の同意 | 厚生労働大臣に申出 | |
保険料 負担 |
事業主と被保険者で半額ずつ負担 |
その全額を被保険者が負 担(事業主の同意がある ときは半額ずつ負担) |
|
保険料の 納付義務 |
事業主 |
被保険者(事業主の同意 がるときは事業主) |
|
保険料の 納期限 |
翌月末日 | ||
資格 取得日 |
厚生労働大臣の認可があった日 |
厚生労働大臣に申出が受 理された日 |
|
原則的な 資格 喪失日 *1 |
・死亡した日の翌日 ・使用されなくなった日の翌日 ・適用除外に該当するに至った日の翌日 |
||
資格喪失の申請に対する厚生労働大臣の認 可があった日の翌日 |
資格喪失の申出が受理さ れた日の翌日 |
||
70歳に達した日 |
老齢基礎年金等の受給 権を取得した日の翌日 |
・任意適用事業所の適用 取消しの認可があった 日の翌日 ・保険料の半額負担等に つき事業主の同意を得 ていない者が、保険料 を滞納し督促状の指定 期限までに納付しない ときは、納期限の属す る月の前月末日*2 |
|
3.第4種被保険者(任意継続被保険者)
(1)資格の取得要件
次のすべての要件を満たすものであること
①昭和16年4月1日以前に生まれた者であって、施行日(昭和61年4月1日)に
おいて厚生年金保険の被保険者であった者
②施行日の属する月から資格喪失日の属する月の前月までのすべての期間厚
生年金保険又は共済組合等に加入していた者
③厚生年金保険の被保険者期間が10年以上20年(中高齢の特例に該当する場
合は15年から19年)未満であること
④資格喪失日から起算して6月以内に厚生労働大臣に申し出ること
(2)資格取得の時期
①申出受理日に引き続き被保険者等でなかった(再就職していなかった)場合
は、当該申出受理日又は資格喪失日のうち本人が選択した日
②資格取得の申出受理日に再び被保険者になっていた(再就職していた)場合
は、資格喪失日
(3)資格喪失の時期
①死亡したときは、その翌日
②被保険者期間が20年(中高齢の特例は15年から19年)に達したときは、そ
の翌日
③第4種被保険者以外の被保険者となったときは、その日
④共済組合の組合員又は私学教職員共済制度の加入者となったときは、その
日
なお、この場合は、資格喪失日から10日以内に機構に届けなければなら
ない
⑤厚生労働大臣に資格喪失の申出をしたときは、その申出が受理された日の
翌日
⑥保険料を滞納し、督促状の指定期日までのその保険料を納付しないとき
は、その翌日
なお、初めて納付すべき保険料を納付しない場合は、第4種被保険者にな
らなかったものとみなされる
(4)他の被保険者との相違点
①氏名又は住所を変更したときは、10日以内に機構に届け出なければなら
ない
②資格の取得及び喪失は、厚生労働大臣の確認を必要としない
③育児休業期間中も保険料が免除されない
④標準報酬は、資格取得前の最後の標準報酬による
⑤保険料は被保険者が全額負担し、納付義務を負う
⑥毎月の保険料は、その月の10日までに納めなければならない
⑦保険料を前納することができる