■雑則
1.厚生年金保険事業の円滑な実施を図るための措置
(1)政府は、次に掲げる事業を行う
①教育及び公報
②相談その他の援助
③手続に関する情報その他利便の向上に資する情報の提供
(2)事務を円滑に処理し、利便の向上に資するため、電子情報処理組織の運用
(3)運用の全部または一部を日本年金機構に行わせる
(4)小口資金の貸付を、独立行政法人福祉医療機構に行わせる
2.積立金の運用
(1)運用の目的と方法
①年金特別会計の厚生年金勘定の積立金の運用は、積立金が徴収された保険
金の一部であり、将来の保険給付の貴重な財源となるものであることに特
に留意し、専ら被保険者の利益のために、長期的観点から、安全かつ効率
的に行うことにより、将来にわたって、厚生年金保険事業の運営を安全に
資することを目的とする
②積立金の運用は、厚生労働大臣が、前条の目的に沿った運用に基づく納付
金の納付を目的として、年金積立金管理運用独立行政機構にに対し、積立
金を寄託することにより行う
*寄託するまでの間、財政融資資金に預託することができる
(2)運用職員の責務
積立金の運用に係る運用職員は、積立金の運用の目的に沿って、慎重かつ細
心の注意を払い、全力を挙げてその職務を遂行しなければならない
3.時効
(1)時効
①保険料その他徴収金を徴収し、又は還付を受ける権利は2年を経過したと
き、保険給付を受ける権利(支払期月ごとに又は一時金として支払う保険
級の支給を受ける権利を含む)は、5年を経過したときに、時効によって
消滅する
②保険給付が全額につき支給停止されている間は、時効は進行しない
③納入の告知又は督促は、時効の中断の効力を有する
*国民年金の年金給付を受ける権利は5年、死亡一時金を受ける権利は2
年で時効により消滅する
これに対して、厚生年金保険法の一時金給付の障害手当金や脱退手当金
の消滅時効は、年金たる保険給付と同様5年である
●年金の支払いを受ける権利(支分権)の消滅時効は、5年である
●時効の起算日
・年金受給権は、受給権が発生した日の翌日
・支分権は、各支払期にかかる月分について支払期月の翌月の初日
(2)時効の特例(年金時効特例法)
4.戸籍の無料証明
市町村長は、厚生労働大臣又は受給権者に対して、市町村の条例により、被保
険者、被保険者であった者又は受給権者の戸籍に関し無料で証明を行うことが
できる
5.受給権者に関する調査
厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、受給権者に対して、その者の身
分関係、障害の状態その他受給権の消滅、年金額の改定若しくは支給停止に係
る事項に関する必要な書類その他の物件の提出を命じ、又は職員をしてこれら
の事項に関し受給権者に質問させることができる
職員は、その身分を示す証票を携帯し、かつ、請求があるときはこれを提示し
なければならない
また、障害等級に該当する保険給付の受給権を有し、又はその者について加算
が行われている子に対して、その指定する医師の診断を受けすべきことを命
じ、又は職員をしてこれらの者の障害状態を診断させることができる
6.資料の提供
厚生労働大臣は、被保険者の資格、標準報酬又は保険料に関し必要があると認
めるときは、官公署に対し、法人の事業所の名称、所在地その他必要な資料の
提供を求めることができる
●年金保険者たる共済組合等の報告義務
共済組合等を所管する大臣を経由して、標準報酬額等平均額の算定のために
必要な事項について厚生労働大臣に報告を行うものとする
厚生労働大臣は、上記に規定する標準報酬額平均額その他これに関連する事
項について、年金保険者たる共済組合等を所管する大臣に報告を行うものと
する
7.事業主の責務
(1)書類の保存
完結の日から2年間
(2)立入検査等
厚生労働大臣は、被保険者の資格、標準報酬、保険料又は保険給付に関する
決定に関し、必要があると認めるときは、事業主に対して、文書その他の物
件を提出すべきことを命じ、又は職員をして事業所に立ち入って関係者に質
問し、若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる
*健康保険法の規定も同様である
8.罰則
(1)事業主等に対する罰則
次の①から⑤のいずれかに該当するときは、6月以下の懲役又は50万円以下
の罰金
①被保険者の資格の取得及び喪失並びに報酬月額及び賞与額に関する事項に
つき、届出をせず、又は偽りの届出をしたとき
②厚生労働大臣から通知された一定の事項を被保険者等に通知しないとき
③厚生労働大臣により決定された免除保険料率を基金加入員に通知しなとき
④督促状に指定する期限までに保険料を納付しないとき
⑤立入検査等の規定による物件提出命令に違反して、文書その他の物件を提
出せず、又は当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の陳述を
し、若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき
●下記の場合も6月以下の懲役または50万円に赤の罰金に処する
1)代行保険料率等の届出を怠った場合等
2)企業年金連合会の解散に伴う責任準備金額の納付をしない場合
3)第1号改定者等の標準報酬の改定に伴う減価相当額の納付をしない場合
(2)事業主以外の者に対する罰則
答弁せず、若しくは虚偽の陳述をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避
したときは、6月以下の懲役または30万円以下の罰金
●50万円以下の罰金
偽りの陳述等をした場合
●20万円以下の過料
・機構の役員の滞納処分等実施規定の変更命令に違反した場合等
●10万円以下の過料
・届出をせず、若しくは虚偽の届出をし、又は申出をせず、若しくは虚偽
の申出をしたとき
・届出義務者が、受給権者が死亡した旨の届出をしないとき
(3)両罰規定
行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても罰金刑を科す