■一般の被保険者
1.被保険者の種類等
①被保険者の種類
被保険者とは、適用事業所に使用されるもの(一般の被保険者及び日雇特例
被保険者)、任意継続被保険者、特例退職被保険者をいう
国籍、年齢、住所、報酬の多少等に関係なく被保険者となる
2.一般の被保険者
(1)被保険者の具体例
①法人の役員
労務の対償として報酬を受けている者は、法人に使用される者として被保
険者資格を取得する
②短時間労働者
1日又は1週間の所定労働時間及び1月の所定労働日数が通常の就労者の4
分の3以上であって、常用的雇用関係が認められる場合には、原則として
被保険者として取り扱われる
③登録型派遣労働者
派遣元事業所の適用となるが、基本的には一般の被験者と同様である
雇用契約終了後については、最大1月以内に、次回の雇用契約が確実に見
込まれるときは、被保険者資格を喪失させないこととしても差し支えない
④特定労働者派遣事業の派遣労働者
派遣元事業所の適用となる
⑤労働組合専従者
労働組合に雇用又は使用される者としてのみ被保険者となる
⑥実習・研修職員
事実上就職と解されれば被保険者とする
⑦試みの使用期間中の者
最初に雇用された日に被保険者となる
●法人でない社団、組合の総裁等
基本的には法人の代表者の場合と同様の扱いとなるが、農業協同組合又は
山林組合の組合長は、組合との間に実体的に使用関係がなければ適用しな
い
●外国人に対する適用
適法に就労する外国人に対しては、日本人と同様の扱いとする
●短時間正社員に対する適用
*個人事業主については、使用されるものとはみなされないので被保険者と
ならない
(2)適用除外
①船員保険の被保険者(疾病任意継続被保険者を除く)
なお、疾病任意継続被保険者が適用事業所に就職した場合は、原則とし
て、健康保険の一般の被保険者となり、疾病任意継続被保険者の資格を喪
失する
②臨時に使用される者で、日々雇い入れられる者(1月を超えて引き続き使用
されるに至った場合を除く)
③臨時に使用されるもので、2月以内の期間を定めて使用される者(所定の期
間を超えて引き続き使用されるに至った場合を除く)
④事業所の所在地が一定しないものに使用される者
⑤季節的業務に使用される者(継続して4月を超えて使用されるべき場合を除
く)
⑥臨時的事業の事業所に使用される者(継続して6月を超えて使用されるべき
場合を除く)
⑦国民健康保険組合の事業所に使用される者
⑧後期高齢者医療の被保険者等
1)後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する75歳以上の者
2)後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する65歳以上75歳未満の
者であって、政令で定める程度の障害の状態にある旨の認定を受けた者
⑨厚生労働大臣、健康保険組合又は共済組合の承認を受けた者
(3)共済組合の組合員に関する特例
共済組合の組合員は、法律上は適用を除外されていないが、ほとんどの場合
は健康保険の適用を実質的に除外されている(法を適用する上では、健康保
険の被保険者となる)
1)健康保険法による保険給付は行わない
2)給付の種類及び程度は、健康保険法以上であることを要する
3)厚生労働大臣は、必要がある認めるときは、報告を徴し、又その運営
関する指示をすることができる
4)健康保険法の保険給付を受けない者からは、保険料を徴収しない
(4)事業主の届出義務
①事業主は、被保険者の資格取得及び喪失並びに報酬月額及び賞与額に関す
る事項を保険者等(協会管掌の場合は厚生労働大臣、健康保険組合管掌の
場合は当該健康保険組合)に届け出なければならない
②保険者等は、届出に係る事実がないと認めるときは、その旨を届出をした
事業主に通知しなければならない
3.一般被保険者資格の取得
(1)資格取得の時期
①使用されるに至った日
事実上の使用関係が発生した日をいい、辞令が発せられた日や赴任又は着
任の日と一致する必要はない
②当初から自宅待機とされた場合
雇用契約が成立しており、かつ、休業手当等が支給されているときは、支
払の対象となった日の初日に資格を取得する
③偽って資格を取得し保険給付を受けた場合
資格を取り消し、その費用を返還させる
④臨時又は試みに使用する場合
雇入れの当初から被保険者となる
(2)被保険者資格取得届
事実があった日から5日以内に機構又は健康保険組合に提出
*被扶養者届については、磁気ディスクによる届出は認められていない
4.一般被保険者資格の喪失
(1)資格喪失の時期
①死亡
②使用されなくなったとき
③適用除外に該当するに至ったとき
④任意適用事業所の取消しの認可があったとき
【具体例】
1)転勤する場合
一括適用事業所の承認を受けていない場合は、その事実があった日に資
格を喪失させ、新たな事業所での資格を取得する
2)嘱託として再雇用された場合
被保険者として資格も継続するが、特別支給の老齢厚生年金の受給権者
である被保険者であって、退職後継続して再雇用される者については、
使用関係が一旦中断したものとみなして、資格喪失届と資格取得届を提
出する取扱いとしても差し支えない
3)工場の譲渡により事業主に変更があった場合
新事業主に使用される場合は、資格の取得及び喪失は生じない
●「使用されなくなった時」とは、現実に業務に使用されない状態におかれ
た日をいう
(2)被保険者資格喪失届
事実があった日から5日以内に、機構又は健康保険組合に提出
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