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健康保険法ー総則

給付実施機関

 

 1.保険医療機関及び保険薬局

 

  療養の給付を受けようとする者は、次のうちから自己の選定するものから受け

  ることができる

 

   ①厚生労働大臣の指定を受けた医療機関又は薬局

   ②事業主医局(組合管掌健康保険)等

   ③組合直営病院等

 

   *保険医療機関として指定を受けた病院が、保険者を健康保険組合に限定し

    その被保険者及び扶養者のみを診療することはできない

 

   *組合直営病院等は、組合の組合員である被保険者以外にも開放することが

    できるが、そのためには保険医療機関等の指定を受けなければならない 

 

  (1)保険医療機関等の責務

 

   保険医又は保険調剤師を診療又は調剤に当たらせるほか、療養の給付を担当

   しなければならない

 

   療養の給付に関する帳簿及び書類その他の記録を完結の日から3年間保存

   患者の診療録にあっては、5年間保存

 

  (2)保険医療機関等の指定

 

   開設者の申請により行う

   厚生労働大臣は、指定を行おうとするときは、地方社会保険医療協議会に諮

   問する

   指定は、指定日から起算して6年

 

   個人開業の保険医療機関等(病院又は病床を有する診療所を除く)は、その指

   定の効力を失う日前6月から同日前3月までの間に別段の申出がないときは

   指定申請手続があったものとみなす

 

   病院又は病床を有する診療所については、指定に係る病床数の増加又は病床

   の種別の変更をしようとするときは、指定の変更を申請しなければならない

 

   保険医等の異動又は開設者の異動があったときは、速やかに、開設者又は旧

   開設者は管轄地方厚生局長等に届け出なければならない

 

  (3)指定の拒否

 

   ①指定の全部拒否

 

    1)取消しの日から5年を経過していないもの

    2)適切さを欠くおそれがあるとして重ねて指導を受けたもの

    3)罰金刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなく

     なるまでのもの

    4)禁固刑以上の刑に処せられ、その執行が終わり、又は執行を受けるこ

     とがなくなるまでのもの

    5)納付義務を負う社会保険料について滞納処分を受け、かつ処分を受け

     た日から正当な理由なく3月以上引続き滞納しているもの

    6)前各号の他著しく不適当と認めらるもの

 

    *厚生労働大臣は、申請者の社会保険料の納付状況に就き、それを徴収す

     る者に対し、必要な書類の閲覧又は提供を求めることができる

 

   ②指定の一部拒否

 

    厚生労働大臣は、病院又は病床を有する診療所について、次のいずれかに

    該当するときは、全部又は一部を除いて指定することができる

 

    1)厚労省令で定める員数及び同令等を勘案して厚生労働大臣が定める基準

     により算定した員数を満たしていないとき

 

    2)基準病床数を勘案して、病床数が算定した数を超えると認める場合であ

     って、都道府県知事の勧告を受け、これに従わないとき

 

    3)その他適正な医療の効率的な提供を図る観点から、著しく不適当なとこ

     ろがあると認められるとき

 

   ③指定拒否の手続

 

    厚生労働大臣は、保険医療機関又は保険薬局を指定しない、若しくは全部

    又は一部を除いて指定を行おうとするときは、地方社会保険医療協議会の

    議を経なければならない

 

   ④指定の辞退

 

    保険医療機関又は保険薬局は、1月以上の予告期間を設けて、その指定を

    辞退することができる

 

   ⑤指定の取消

 

    厚生労働大臣は、指定を取り消そうとするときは、地方社会保険医療協議

    会に諮問するものとする

 

 2.保険医及び保険薬剤師

 

  健康保険の診療・調剤を担当するのは、厚生労働大臣の登録を受けた保険医又

  は保険調剤師でなければならない

 

  (1)保険医等の責務

 

   保険医又は保険調剤師は、健康保険の診療又は調剤に当たらなければならな

   い

 

   また、保険医等は、健康保険以外の医療保険各法又は高齢者の医療の確保に

   関する法律による診療又は調剤に当たらなければならない

 

  (2)保険医等の登録

 

   登録は、医師若しくは歯科医師又は薬剤師の申請により行う

 

   *登録を行おうとする際に、地方社会保険医療協議会に諮問する必要はない

 

   *また、登録について有効期間の定めはない

 

  (3)登録の拒否

 

   厚生労働大臣は、次のいずれかに該当するときは、登録をしないことができ

   る

 

   ①取消しの日から5年を経過しない者であるとき

 

   ②罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくな

    るまでの者であるとき

 

   ③禁固刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることが

    なくなるまでの者であるとき

 

   ④前項等の他、著しく不適当であると認められ者であるとき

 

   *離島地域等又は地域医療の確保を図るため、取消後2年未満での再登録を

    認めることができる場合がある

 

  (4)登録の抹消

 

   1月以上の予告期間を設けて、登録の抹消を求めることができる

 

  (5)登録の取消

 

   厚生労働大臣は、登録を取り消そうとするときは、地方社会保険医療協議会

   に諮問するものとする

 

  (6)保険医療機関又は保険薬局のみなし指定

 

   個人開業の診療所等については、保険医等の登録を受けたときは、保険医療

   機関等の指定があった者とみなす

 

 3.指定訪問看護事業者

 

  訪問看護事業を行う者であって、厚生労働大臣が指定する者

 

  当該事業者が開設する事業所(訪問看護ステーション)の看護師等から医師の指

  示に基づく療養上の世話や診療の補助を受けた場合には、訪問看護療養費(家

  族訪問看護療養費)が支給される

 

  なお、訪問看護は、看護師、保健師、助産師、准看護師、理学療養師、作業療

  養師、及び言語聴覚士が行い、医師は含まれない

 

  (1)指定訪問看護事業者の責務

 

   事業の運営に関する基準に従い、訪問看護を受ける者の心身の状況等に応じ

   て適切な指定訪問看護を提供するものとする

 

   健康保険法以外の医療保険各法による被保険者及び被扶養者並びに高齢者の

   医療の確保に関する法律による療養の給付を受けることができる者にも提供

   することとされている

 

  (2)指定訪問看護事業者の基準

 

   指定訪問看護事業者は、厚生労働大臣が定める員数等の事業運営基準を満た

   さなければならない

 

   厚生労働大臣は、事業運営に関する基準を定めようとするときは、中央社会

   保険医療協議会に諮問するものとする

 

  (3)指定訪問看護事業者の指定

 

   指定は、訪問看護事業を行う者の申請により行う

 

   名称及び所在地の変更があったとき、又は廃止し、休止し、若しくは再開し

   たときは、10日以内に厚生労働大臣に届け出なければならない

 

   ●介護保険法の規定による指定居宅サービス事業者、指定地域密着型サービ

    ス事業者又は指定介護予防サービス事業者の指定があったときは、指定訪

    問看護事業者の指定があったものとみなされる

 

    また、上記の指定の取り消し若しくは効力の停止若しくは指定の失効は、

    健康保険法の規定よる訪問看護事業者の指定については影響を及ぼすもの

    ではない

 

  (4)指定の拒否

 

   厚生労働大臣は、次のいずれかに該当するときは、指定をしてはならない

 

   ①申請者が、地方公共団体、医療法人、社会福祉法人その他厚生労働大臣が

    定める者(国、日本赤十字社、健康保険組合及び健康保険組合連合会、国

    家公務員共済組合等の共済組合及びその連合会、国民健康保険組合及び国

    民健康保険団体連合会)でないとき

 

   ②看護師等の知識及び技能並びに人員が、基準及び員数を満たしてないとき

 

   ③事業の運営に関する基準に従って、適正な運営をすることができないと認

    められるとき

 

   ④取消しの日から5年を経過しない者であるとき

 

   ⑤罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくな

    るまでの者であるとき

 

   ⑥禁固以上の刑に処せられ、その執行が終わり、又は執行を受けることがな

    くなるまでの者であるとき

 

   ⑦申請をした日の前日までに、社会保険料について滞納処分を受け、かつ、

    処分を受けた日から正当な理由なく3月以上の期間にわたり、処分を受け

    た日以降に納期限の到来した社会保険料のすべてを引き続き滞納している

    ものであるとき

 

   ⑧前各号の他、著しく不適当であると認められ者であるとき

    

指定・登録に関する注意点のまとめ 
  保険医療機関・保険薬局 保険医・保険薬剤師 指定訪問看護事業者 

指定

登録

 

厚生労働大臣の指定

厚生労働大臣の登録 厚生労働大臣の指定

地方社会保険医療協議会

 に諮問

有効期間6年

   
拒否 指定の拒否 登録の拒否  指定の拒否

・地方社会保険医療

 協議会の議を経る

・地方社会保険医療

 協議会の議を経る

 

辞退

抹消等

 

 指定の辞退  登録の抹消  
・1月以上の予告期間 ・1月以上の予告期間  
取消  指定の取消 登録の取消  指定の取消 

・地方社会保険医療

 協議会に諮問

・地方社会保険医療

 協議会に諮問

 

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