■医療給付(現物給付)
1.療養の給付
(1)給付の範囲
①給付の範囲
1)診察
2)薬剤又は治療材料の支給
3)処置、手術その他の治療
4)居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
5)病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
*資格取得前の傷病は、資格取得が適正である限り、保険給付が行われる
*正常分娩及び単なる経済的理由による人工妊娠中絶に係る費用は療養の
給の対象外である
②給付対象外の療養等
次に掲げる療養の給付は、前項の療養給付に含まれないものとする
1)食事の提供である療養であって入院療養と併せておこうもの(療養病床
への入院及び65歳以上の被験者、特定長期入院被保険者を除く:「食
事療養」という)
2)次に掲げるもので入院療養と併せて行うもの(特定長期入院被験者に限
る:「生活療養」という)
・食事の提供である療養
・温度、照明及び給水に関する適切な療養環境の形成である療養
3)評価療養
4)選定療養
*厚生労働大臣は、療養の給付の算定方法、評価療養、又は選定療養を定
めようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする
(2)受給方法
保険医療機関等のうち、自己の選定する者から受けるものとする
被保険者証を(70歳以上の場合は、高齢受給者証を添えて)提出しなけれ
ばならない
(3)一部負担金
①一部負担金の支払
被保険者の区分 | 負担割合 | |
70歳未満 | 30% | |
70歳以上 | 一般所得者 |
20% (凍結中は10%) |
一定以上所得者 | 30% |
1)70歳以上の一定以上所得者
・標準報酬月額が28万円以上
・次の場合は一般所得者として取り扱われる
70歳以上の被扶養者を有する70歳以上の被保険者の年収の合計額
520万円に満たないとき
あるいは、70歳以上の被扶養者がいない70歳以上の被保険者の年収
額が383万円に満たないとき
ただし、被扶養者が75歳以上に達したことにより後期高齢資料制度
に移行した者の場合は、年収の合計額が520万円に満たないとき(5年
間に限る)
*随時改定により標準報酬月額が変更となり、一部負担金の割合も変更
するものについては、改定後の標準報酬月額が適用される月から負担
割合が変更となる
②一部負担金の端数処理
5円未満は切り捨て、5円以上10円未満は10円に切り上げる
③一部負担金の額の特例
1)災害その他特別の事情で、困難であると認められる場合、次の措置をと
ることができる
・減額
・免除
・猶予(被保険者の申請により、6月以内の期間)
*組合管掌健康保険組合の場合
一部負担金について次のような特例が認められている
・保険者が健康保険組である場合は、規約で定めるところにより、減
額、又は支払を要しないものとすることができる
・健康保険組合直営の病院等では、徴収しないことになっているが、規
約によって、支払わせることができる
・健康保険組合の場合は、規約によって、払い戻すことができる
*徴収猶予又は減免に係る証明書の提出を受けた保険に医療機関等は、当
該相当額を社会保険診療報酬支払機関に請求する
(4)費用の支払
療養の給付に要する費用は、保険者が社会保険診療報酬支払機関又は国民健
康保険団体連合会を通じて保険医療機関等に支払う社会保険診療報酬と被保
険者が直接保険医療機関等に支払う一部負担金によって賄われる
2.入院時食事療養費
(1)支給要件
被保険者(特定長期入院被保険者を除く)が、療養の給付と併せて受けた食事
療養に要した費用について、入院時食事療養費を支給する
*特別料金の支払を受ける特別メニュ―の食事を提供する保険医療機関は、
毎年7月1日現在で、その内容及び料金等を入院食事療養及び入院生活療
養と併せて地方厚生局長等に報告する
(2)支給額
入院時食事療養費の額は、食事療養に要する費用の額から、次の食事療養標
準負担額を控除した額となる
対象者 | 食事療養標準負担額 | ||
低所得者以外の者 | 1食につき260円 | ||
低所 得者 |
市町村民税の 非課税者等 |
入院日数90日以下 |
1食につき210円 |
入院日数90日超 |
1食につき160円 |
||
70歳以上で判定基準所得がない者 | 1食につき100円 |
●限度額適用認定の申請等
限度額適用・標準負担額減額認定所及び限度額適用認定証の交付を受けた
場合は、これを被保険者証に添えて病院等に提出することによって、高額
療養費日算定基準額の減額措置又は高額療養費の現物給付を受けることが
できる
ただし、被保険者が減額措置等対象者に該当しなくなったとき(適用対象
者が70歳に達する日の属する月の翌月に至ったときを含む)などは、遅滞
なく、保険者に返納しなければならない
*点滴療養は、療養の給付であるため、点滴療養を受けている入院患者から
は、食事療養標準負担額は徴収されない
*食事療養標準負担額は、高額療養費の対象となる自己負担額に算入されな
い
(3)費用の支払
入院食事療養費は償還払いの体裁をとっているが、実際には、保険者が被保
険者に代わりその相当額を保険医療機関等に支払うことにより現物給付とし
て支給される
(4)領収書の交付
領収書には、食事療養標準負担額と特別料金を区分して記載しなければな
らない
3.入院時生活療養費
(1)支給要件
特定長期入院被保険者(療養病床に入院する65歳以上の被保険者)の生活療
養に要する費用について支給される
(2)支給額
入院時生活療養費の額は、生活療養に要する費用の額から生活療養標準負担
額を控除した額である
対象者 | 生活療養標準負担額 | |||||
食費分 | 居住費分 | |||||
①下記②以外 の者 |
低所 得者 以外 の者 |
保険医療機関(Ⅰ)に入院し ている者 |
1食につき 460円 |
1日につき 320円 |
||
保険医療機関(Ⅱ)に入院し ている者 |
1食につき 420円 |
|||||
低所 得者 |
A |
市町村民税の非課税者等 (Bを除く) |
1食につき 210円 |
|||
B |
70歳以上で判定基準所得 がない者 |
1食につき 130円 |
||||
②入院医療の 必要性の高 い者 |
低所得者以外の者 |
1食につき 260円 |
1日につき 0円 |
|||
低所 得者 |
A |
市町村民税の 非課税者等 (Bを除く) |
入院日数 90日以下 |
1食につき 210円 |
||
入院日数 90日以上 |
1食につき 160円 |
|||||
B |
70歳以上で判定基準所得が ない者 |
1食につき 100円 |
(3)費用の支払
現物給付として支給される
(4)領収書の交付
4.保険外併用療養費
(1)支給要件
保険医療機関等のうち自己の選定する者から評価療養又は選定療養を受けた
ときは、保険外併用療養費を支給する
①評価療養
1)先進医療
2)医療薬の治験に係る診療
3)医療機器の治験に係る診療
②選定医療
1)特別の療養環境
2)予約診察
3)診療時間外
4)病床数200以上の病院で紹介なしに初診(緊急の場合を除く)を受けた場
合
5)前歯部の治療で金合金や白金加金等の特別の材料を使用した場合
6)180日を超えて入院し、その療養に伴う世話その他の看護を受けた場合
(入院医療の必要性が高い場合を除く)
*患者の同意の確認
*予約診察の待ち時間は30分程度
*予約診察の診療時間は10分程度以上とし、医師1人につき1日診察する
患者数は概ね40人程度とする
*病院側の都合による予約診察は選定療養とは認められない
*時間外診察は、保険医療機関の標榜診療時間帯以外であれば認められる
●保険外併用療養費の支給対象となる治験
患者に対する情報提供を前提として、患者の自由な選択と同意がなされた
ものに限られるものとし、したがって、治験の内容を患者等に説明するこ
とが医療上好ましくないと認められる場合にあっては、支給対象としない
(2)支給額
評価療養・選定療養の部分については、特別料金を自費で払うが、それ以外
の基礎部分については、一部負担金相当額を除いた部分が保険外併用療養費
として現物給付される
また、入院した場合も、食事療養標準負担額又は生活療養標準負担額に相当
する部分を除いた部分が保険外併用療養費として現物給付される
評価療養・選定療養部分の特別料金(全額負担部分)5万円 |
|
基礎部分の保険外併用 療養費7万円 |
一部負担金相当額3万円 食事療養標準負担額 生活療養標準負担額 |
(3)費用の支払
現物支給される
(4)領収書の交付
5.療養費
(1)支給要件
保険者は、療養の給付等を行うことが困難であると認めるとき、又は保険医
療機関等以外で診療等を受けた場合において、やむを得ないものと認めると
きは、療養の給付に代えて、療養費を支給することができる
①療養の給付等を行うことが困難であると保険者が認めたとき
1)保険医療機関がない場合
2)事業主が資格取得届の提出を怠った場合
3)準医療行為
・柔道整復師の施術を受けた場合は、医師の同意を得る必要がある
・柔道整復師が入院中の患者の後療を医師から依頼された場合の施術
は、療養費の支給対象とはならない
・はり・きゅうに係る施術を受けた場合(緊急その他真意やむを得ない
の場合を除き、初回の療養費支給申請書に医師の同意書又は診断書を
添付する必要がある)
4)特殊な治療材料等
・コルセット、義眼を購入したときであって、治療上必要と認められる
とき(眼鏡、補聴器又はぺロッテは不可)
・義手義足については、症状固定後は不可
5)生血代は療養費が支給されるが、保存血については療養の給付として現
物給付が行われる
6)海外において療養を受けた場合
事業主(代理人を含む)を経由して行い、その受領は事業主が代理して行
う(海外送金は行はない)
換算率は、支給決定日の換算率を用いる
②やむを得ないものと認めるとき
(2)支給額
仮に療養の給付等を行った場合に必要とする額を療養の給付等に規定する算
定方法で算出し(一部負担金及び食事・生活療養標準負担額を控除する)、そ
の額を基準として保険者が決定する
6.家族療養費
(1)支給要件
被扶養者が療養を受けたときは、被保険者に対して、その療養に要した費用
について、家族療養費を支給する
(2)支給額
被扶養者の区分 |
給付割合 |
6歳の年度末まで | 80% |
6歳年度末を過ぎ70歳未満 | 70% |
70歳以上の一般所得者 | 80%(凍結期間中は90%) |
70歳以上の一定以上所得者 | 70% |
(3)家族療養費の特例
一部負担金の減免を受ける被保険者の被扶養者に係る家族療養費の支給につ
いて、100分の100以下の範囲内において保険者が定めた割合とすることが
できる
(4)費用の支払
現物給付が行われる
7.訪問看護療養費
疾病構造の変化に伴い在宅での療養にニーズの高まりを受け、平成6年の改正
によって設けられたものである
(1)支給要件
①主事の医師がその治療の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合して
いると認めたものであること
病状が安定し、又はこれに準ずる状態にあり、かつ、供託においての看護
師等が行う療養上の世話及び必要な診療の補助を要する場合に当該基準に
適合していると認められる
看護師等とは、看護師、保健師、助産師、准看護士、理学療養士、作業療
法士及び言語聴覚士をいう
②厚生労働大臣の指定した訪問看護事業者(指定訪問看護事業者)が開設する
訪問看護事業を行う事業所(訪問看護ステーション)により行われる訪問看
護(指定訪問看護)を受けること
③疾病又は負傷により居宅において継続して療養を受ける状態にある被保険
者であること
④他の訪問看護ステーションから現に指定訪問看護を受けていること
⑤保険者が定めること
●限度日数
週3日を限度(末期の悪性腫瘍等を除く)
*保険医療機関等から居宅における療養に伴う世話等の看護を受けた場合に
は療養の給付の対象とされ訪問看護療養費は支給されない
(2)受給手続
被保険証等を指定訪問看護事業者に提出して給付を受ける
(3)支給額
指定訪問看護に要する費用として算定された額から一部負担金相当額を控除
した額である
(4)費用の支払
現物給付の方式で支給される
被保険者は一部負担金に相当する額を基本利用料として、交通費、おむつ代
等の実費をその他の利用料として、指定訪問看護事業者に支払うことになる
(5)領収書の交付
8.家族訪問看護療養費
(1)支給要件
①被扶養者が指定看護訪問看護事業者から指定訪問看護を受けたときは、被
保険者に対し家族訪問関療養費を支給する
②家族訪問看護療養費は、厚労省令で定めるところにより、保険者が必要が
あると認める場合に限り支給するものとする
(2)支給額
厚生労働大臣の定めた例により算定した費用の額に家族療養費の給付割合を
乗じて得た額(家族療養費の額の特例が適用されるべきときは、それが適用
された額)とする
9.高額療養費
(1)支給要件
①一部負担金等の額が著しく高額であるときは、その一部負担金等の支給を
受けた者に対し高額療養費を支給する
②支給要件、支給額その他高額療養費の支給に関して必要な事項は、療養に
必要な負担の家計に与える影響及び療養に要した費用の額を考慮して政令
で定める
●高額療養費は、一部負担金等の額が高額療養費算定基準額(自己負担限度
額)を超えた場合に、その超えた部分について償還払する制度であるが、
現物給付として支給される場合も徐々に広げられている
なお、保険診療等に係る自己負担額の合算については、次のような取扱い
が定められている
1)高額療養費の対象外の費用
次のような自己負担分(保険外負担分)については算定の対象にならない
・食事療養標準負担額
・生活療養標準負担額
・評価療養又は選定療養に係る特別料金
・訪問看護療養費及び家族訪問看護療養費に係るその他の利用料
2)同一月に受けた療養
歴月1月ごとに算定する
3)被保険者又は被扶養者を単位として合算する
4)一の病院等から受けた療養
同一の病院等ごとに算定する
なお、同一の病院等であっても、次の場合はそれぞれ別個に算定される
・同一の病院等の歯科と歯科以外の診療科
・同一の病院等の入院診療分と通院診療分
*治療用補装具等に係る高額療養費は、同一医療機関におけるそれぞれの
費用をもって支給対象となるか否かを判断するものであり、当該医療機
関における領収書を合算して支給額を決定するものではない
*同一月内に異なる保険者間での移動があった場合は、それぞれの管掌者
ごとに要件を見る
(2)70歳未満のみ世帯の高額療養費
①被保険者あるいは被扶養者単独で受給できる場合
なお、50銭未満は切り捨て、50銭以上は1円に切り上げる
■高額療養費算定基準額(70歳未満)
所得区分 |
高額療養費算定基準額 |
一般 | 80,100円+(療養に要した費用-267,000円)×1% |
上位所得者 | 150,000円+(療養に要した費用-500,000円)×1% |
低所得者 | 35,400円 |
*上位所得者とは、療養月の標準報酬月額が53万円(第31級)以上である
被保険者又はその被扶養者
*低所得者とは、「市町村民税非課税者又は免除者」又は「低所得者に係る
高額療養費の支給があれば生活保護法の規定よる保護を必要としなくな
るもの」である被保険者若しくは被扶養者
②世帯合算で受給できる場合
同一世帯で被保険者又は被扶養者についてそれぞれ21,000円以上の一部
負担金及び自己負担額がある場合は、合算して上記の表中高額療養費算定
基準額を超えた場合に、その超えた分が高額療養費として支給される
*世帯合算は、被保険者及びその被扶養者を単位として行われるので、たと
え夫婦であっても、ともに被保険者の場合には、その夫婦間では合算は行
われない
③多数回該当の場合
療養のあった月以前の12月以内にすでに支給されている月数が3月以上の
場合にあっては、4月目からは次の多数回該当の高額療養費算定区準額
(70歳未満)を超えた場合に、その超えた分が支給される
■多数回該当の高額療養費算定基準額(70歳未満)
所得区分 |
高額療養費算定基準額 |
一般 | 44,400円 |
上位所得者 | 83,400円 |
低所得者 | 24,600円 |
●多数回該当における回数通算の取扱い
1)転職により協会支部が変わった場合は、通算される
2)組合健保から協会健保に変わった等、管掌する保険者が変わった場合
は、通算されない
④長期高額疾病(特定疾病)の場合
■長期高額疾病(特定疾病)の高額療養費算定基準額(70歳未満)
疾病の種類 |
高額療養費算定基準額 |
人工腎臓を実施している 慢性腎不全 |
10,000円 (上位所得者20,000円) |
血友病 | 10,000円 |
抗ウイルス剤を投与している 後天性免疫不全症候群 |
(3)70歳以上のみ世帯の高額療養費
①外来のみの場合
70歳以上の外来療養の場合は、金額にかかわらず異なる病院等で受けた
療養に係る一部負担金等の額も合算して適用する
■高額療養費算定基準額(70歳以上)
所得区分 | 高額療養費算定基準額 | |
外来(個人) | 世帯合算 | |
一般 |
24,600円 (凍結中:12,000円) |
62,100円 (凍結中:44,400円) |
一定以上 所得者 |
44,400円 |
80,100円+(療養に要した費用 -267,000円)×1% |
低所得者Ⅱ | 8,000円 | 24,600円 |
低所得者Ⅰ | 15,000円 |
②入院療養の世帯合算の場合
前記の表中高額療養費算定基準額(70歳以上・世帯合算)の額を超える場
合には、その超える額が支給される
入院療養に係る一部負担金等の額を世帯合算した額の算定は次のように取
り扱う
1)まず、個人単位で外来療養に係る高額療養費を算定する
2)次に、残っている一部負担金等の額と入院療養等に係る一部負担金等の
額を合算して高額療養費算定基準額を超える額が高額療養費となる
3)そして、1)と2)のそれぞれの高額療養費を合計した額が、総支給額を
なる
*70歳以上の者については、21,000円未満の一部負担金等についても合算
対象となる
③多数回該当の場合
4月目からは、多数回該当の高額療養費算定基準額(70歳以上)を適用する
なお、外来療養の場合の高額療養費の適用しか受けない場合は、回数に算
入しない
■多数回該当の高額療養費算定基準額(70歳以上)
所得区分 | 高額療養費算定基準額 |
一般 | 44,400円(凍結期間中は適用なし) |
一定以上の 所得者 |
44,400円 |
低所得者 |
④長期高額疾病(特定疾病)の場合
■長期高額疾病(特定疾病)の高額療養費算定基準額(70歳以上)
疾病の種類 |
高額療養費算定基準額 |
人工腎臓を実施している 慢性腎不全 |
10,000円
|
血友病 | |
抗ウイルス剤を投与している 後天性免疫不全症候群 |
⑤75歳到達月の高額療養費算定基準額の特例
誕生日前後の医療費について健康保険制度と後期高齢者医療制度でそれぞ
れ高額療養費算定基準が適用される(誕生日がその月の初日の場合を除く)
個人単位で両制度のいずれにおいても本来の額の2分の1の額を適用する
(4)70歳以上と70歳未満の者がいる世帯の高額療養費
①世帯合算の方法は次の通りである
1)世帯全体の一部負担金等の額に対して70歳未満の高額療養費算定基準
額が適用される
2)70歳以上の者ついてはすべての一部負担金等の額、70歳未満の者につ
いては21,000円以上の一部負担金等の額が、世帯合算の対象となる
3)世帯全体での高額療養費算定基準額は、70歳以上に係る世帯単位の高
額療養費基準算定額を適用した後の残る一部負担金等の額に適用され
る
4)限度額1%負担の算出に当たっては、合算対象となる一部負担金等の額
係る療養に要した費用すべてが算定の基礎となる
5)多数回該当の場合の回数算定に当たっては、70歳以上の外来の高額療
養費算定基準の適用により高額療養費の支給を受けて回数は算入しない
(5)支給方法
①償還払い(現金給付)
保険者は、原則的には診療報酬明細書の基づいて高額療養費を支給するも
のであり、法令上は、請求書に証拠書類を添付することは特に義務づけら
れていない
②現物給付される場合
1)長期高額疾病患者に係る高額療養費
2)公費負担医療に関する給付が行われるべき療養に係る高額療養費
3)同一月・同一保険医療機関・個人単位の入院に係る高額療養費
4)同一月・同一保険医療機関等・個人単位の外来、訪問看護に係る高額療
養費
10.高額介護合算療養費
(1)支給要件
一部負担額等の額(高額療養費が支給される場合にあっては、その額を控除
して得た額)並びに介護保険法の介護サービス利用者負担額(高額介護サービ
ス費が支給される場合にあっては、その額を控除して得た額)及び介護予防
サービス利用者負担額(高額介護予防サービス費が支給される場合にあって
は、その額を控除して得た額)の合計額が著しく高額であるときは、高額介
護合算療養費が支給される
①前年の8月からその年の7月までの1年間における合算した額が、次の介護
合算算定基準額を超えたときに支給される
■高額介護合算算定基準額
被保険者の区分 | 介護合算算定基準額(年額) | |
70歳未満 | 70歳以上 | |
①上位所得者(70歳未満) 又は一定以上所得者(70歳以上) |
1,260,000円 |
670,000円 |
②一般所得者(①③④以外) |
670,000円 |
620,000円 (凍結期間中は560,000円) |
③市町村民税非課税者等 | 340,000円 | 310,000円 |
④判定基準所得がない者 | 190,000円 |
②支給額
超過額を健康保険と期後保険の自己負担額の比率で按分した額がそれぞれ
支給される
(健康保険分)
支給額=超過額×A/A+B
(介護保険分)
支給額=超過額×B/A+B
*A=健康保険の自己負担額(高額療養費の対象となる額を除く)
*B=介護保険の自己負担額[高額介護(予防)サービス費の対象となる額
を除く]
③算定上の取扱い
1)計算期間(前年8月1日からその年7月31日)の末日(基準日)に健康保険法
上の世帯単位で算定する
2)医療保険や介護保険の保険者が変更になった場合でも合算される
3)健康保険又は介護保険のいずれかの自己負担額が0円の場合は支給され
ない
4)食事療養標準負担額等の自己負担部分は対象外
5)算定した額が500円以下の場合は不支給とする
④時効
基準日の翌日から起算して2年である
*高額療養費(高額介護サービス費・高額介護予防サービス費)が支給されて
いることが高額介護合算療養費の支給要件となっているわけではない
(2)支給方法
被保険者からの請求に基づいて、償還払いによって行われる
被保険者は、介護保険の保険者(市町村)の自己負担額の証明書を添えて、健
康保険の保険者に申請し、その支払いも健康保険の保険者から受ける
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