■被保険者
1.被保険者の定義(法4条第1項)
雇用保険において「被保険者」とは、適用事業に雇用される労働者であって、
第6条各号(適用除外)の掲げる者以外のものをいう
(1)労働者性の判断を要する場合
①取締役および社員、監査役、協同組合等の社団または財団の役員
労働者性によって判断する
代表取締役は被保険者とならない
②旅館、料理店、飲食店、その他接客業又は娯楽場の事業に雇用されるもの
③家事使用人ー原則被保険者にならない
④同居の親族ー原則被保険者にならない
⑤在宅勤務者ー事業所勤務労働者との同一性
⑥生命保険会社の外務員等ー雇用関係の明確性の有無
⑦授産施設の作業員ー原則としてならない
(2)労働者の特性・状況を考慮して判断する場合
①2以上の事業主の適用事業に雇用される者(主要な生計維持手段となって
いる雇用関係について被保険者となる)
②65歳以上の者に係る在籍出向及び出向元への復帰(出向元事業主と引続き
雇用関係にある場合は、出向元の雇用関係について被保険者となる)
③引続き長期にわたり欠勤している者(雇用関係が存続する限り賃金の支払
いに有無にかかわらず被保険者となる)
④退職金制度のある適用事業に雇用される者(被保険者となる)
⑤国外で就労する者(出張・転勤・出向等で従前の雇用関係があれば被保険
者となる)
なお、現地で採用された者は国籍のいかんに係らず被保険者とならない
⑥在日外国人(外国公務員及び外国の失業補償制度の適用を受けていること
が立証されたものを除き、被保険者となる)
⑦外国人技能実習生(受入先の事業主と雇用関係にあれば、被保険者となる)
⑧船員(1週間の所定労働時間が20時間未満の場合を除き、被保険者となる)
2.適用除外(法6条、法43条4項、則3条の2、平成22.4.1厚労告154号)
次に掲げる者については、雇用保険法は適用しない
(1)65歳に達した日以後に雇用される者(65歳前から継続雇用されている者、
短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者を除く)
(2)1週間の所定労働時間が20時間未満である者(日雇労働被保険者を除く)
(3)継続して31日以上雇用されることが見込まれない者(前2月の各月において
18日以上雇用された者及び日雇労働被保険者を除く)
(4)季節的に雇用される者であって、次のいずれかに該当する者(日雇労働被保
険者を除く)
①4箇月以内の期間を定めて雇用される者
②1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である者
(5)学校の学生又は生徒で、次の①~④以外の者
①卒業を予定している者であって、卒業した後も引き続き雇用されること
になっている者
②休学中の者
③定時制の課程に在学する者
④①~③に準ずる者として厚生労働省職業安定局長が定める者
(6)船員法第1条に規定する船員で、漁船に乗り組むために雇用された者
(7)国、都道府県、市町村等の事業に雇用される者のうち、離職した場合に、
求職者給付及び就職促進給付の内容を超える支給を受けることができる者
適用除外の要件 | 手続 | |
国・特定独立行政法人 |
離職時の諸給与 求職者給付・就職 促進給付 |
承認は不要 |
都道府県等 |
都道府県等の長が申請 厚生労働大臣の承認 |
|
市町村等 |
市町村等の長が申請 都道府県労働局長の承認 |
*承認をしない決定があったときは、その申請がなされた日にさかのぼって
雇用保険の適用がある
*いわゆるパートタイム労働者や登録型派遣労働者についても、週所定労
働時間が20時間以上であり、同一事業主の適用事禦所に継続して31日以
上雇用されることが見込まれる場合は、被保険者となる
3.被保険者の種類
(1)一般被保険者(法60条の2,1項1号)
(2) 高年齢継続被保険者(法37条の2,1項)
65歳に達した日の前日から引き続いて65歳に達した日以後の日において
も雇用されているもの(「65歳に達した日」とは、誕生日の前日をさす)
(3)短期雇用特例被保険者(法38条1項、平成22.4.1厚労告154号)
季節的に雇用される者のうち次にのいずれにも該当しない者
①4箇月以内の期間を定めて雇用される者
②1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である者
●短期雇用特例被保険者についての注意点
*定められた期間(例:4箇月)を超えて引き続き雇用されるに至った場合
定められて期間(例:4箇月)を超えた日から被保険者資格を取得する
*季節的に雇用される者
雇用期間が1年未満であるか及び季節に影響を強く受けるかどうか
*週所定労働時間が20時間以上となったとき等
1年以上雇用されるに至った日において、週所定労働時間が20時間以上
である場合、又は同日後20時間以上となったときはその日から被保険
者になる
●被保険者の種類の切替日についての注意点
*短期雇用特例被保険者が、1年以上雇用されるに至ったときは、その日
(切替日)以後は、次のようになる
1)切替日に65歳未満の者は、一般被保険者となる
2)切替日に65歳以上の者は、高年齢継続被保険者となる
3)雇入れ日に65歳以上の者は、切替日に被保険者資格を喪失する
(4)日雇労働被保険者
日雇労働者(法42条、法43条2項、則74条)
次にいずれかに該当する労働者
①日々雇用される者
②30日以内の期間を定めて雇用される者
日雇労働被保険者(法43条1項、則72条1項)
次のいずれかに該当する労働者
①適用区域に居住し、適用事業に雇用される者
②適用区域外の地域に居住し、適用区域内にある適用事業所に雇用される者
③適用区域外の地域に居住し、適用区域外の地域にある適用事業所であっ
て、厚生労働大臣が指定したものに雇用される者
④公共職業安定所長の認可を受けた者
●被保険者の種類の切替日についての注意点
*2月において18日以上雇用された場合
1)切替月の初日に65歳未満の者は、一般被保険者又は短期雇用特例被保
険者となる
2)雇用されたとき65歳未満であったが、切替月の初日に65歳以上の者
は、高年齢継続被保険者又は短期雇用特例被保険者となる
3)雇用されたとき65歳以上であった者は、切替月の初日に短期雇用特例
被保険者に該当しない限り、被保険者とされない
*31日以上雇用された場合
1)切替日に65歳未満の者は、一般被保険者又は短期雇用特例被保険者と
なる
2)雇用されたとき65歳未満であったが、切替日に65歳以上である者は、
高年齢継続被保険者又は短期雇用特例被保険者となる
3)雇用されたとき65歳以上であった者は、切替日以後短期雇用特例被保
険者に該当しない限り、被保険者とされない
4.被保険者の確認
資格の確認
(1)資格の取得及び喪失の確認(法7条、法8条、法9条1項、法43条4項)
①事業主からの届出(日雇労働者は除く)
②労働者の請求
③公共職業安定所長の職権
*日雇労働者には適用されない
(2)短期雇用特例被保険者の確認(法38条2項)
厚生労働大臣が行う
公共職業安定所長に委任
●確認の通知
公共職業安定所長は、雇用保険被保険者資格取得確認通知書又は雇用保険
被保険者資格喪失確認通知書により事業主に通知する
確認に係る者に対する通知は事業主を通じて行うことができる
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