■基本手当等
1.失業等給付の体系
(1)失業等給付の種類(法10条1項)
失業等給付は、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付及び雇用継続給付
とする
(2)求職者給付
①求職者給付の種類(法10条2項、3項)
1)求職者給付は、次の通りである
・基本手当
・技能習得手当
・寄宿手当
・傷病手当
2)高年齢継続被保険者に係る求職者給付は、高年齢求職者給付金とし、
短期雇用特例被保険者に係る求職者給付は、特例一時金とし、
日雇労働被保険者に係る求職者給付は、日雇労働求職者給付とする
*失業補償機能をもつ給付である
②就職への努力(法10条の2)
求職者給付の支給を受ける者は、必要に応じて職業能力の開発及び向上を
図りつつ、誠実かつ熱心に求職活動を行うことにより、職業に就くように
努めなければならない
(3)就職促進給付
①就業促進手当
②移転費
③広域求職活動費
(4)教育訓練給付
教育訓練給付金
(5)雇用継続給付
①高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金(高年齢雇用継続給
付)
②育児休業給付金
③介護休業給付金
2.基本手当の受給資格
(1)受給資格要件
①受給資格要件の原則(法13条1項)
1)離職による被保険者資格の喪失の確認を受けたこと
2)失業状態にあること
3)離職の日以前2年間(算定対象期間)に被保険者期間が通算して12箇月以
上(疾病、負傷その他省令で定める理由により引き続き30日以上賃金の
支払いを受けることができなかった被保険者については、賃金を受ける
ことができなかった日数を2年に加算した期間で、最大4年間)
②受給資格要件の特例(法13条2項)
次のいずれかに該当する者については、離職の日以前1年間(算定対象期
間)に被保険者期間が通算して6箇月以上
・倒産・解雇等離職者(特定受給資格者)
・特定理由離職者Ⅰ(希望に反して契約更新がなかったことにより離職し
た者)
・特定理由離職者Ⅱ(正当な理由のある自己都合により離職した者)
③受給資格要件の緩和(法13条1項、2項、則18条)
算定対象期間は、当該期間に次に理由により引き続き30日以上賃金の支
払いを受けることができなかった被保険者については、当該理由により賃
金の支払いを受けることができなかった日数を当該期間に加算した期間
(4年を超える時は、4年間)とされる
・疾病、負傷(業務上、業務外の別を問わない)
・事業所の休業
・出産
・事業主の命による外国における勤務
・国と民間企業との人事交流に関する法律に該当する交流採用
・上記の理由に準ずる理由であって、管轄職業安定所の長がやむを得ない
と認めるもの
・証明書の提出命令
公共職業安定所長は、上記の理由について必要と認めるときは医師の証
明書その他当該理由を証明することができる書類の提出を命じることが
できる
(2)被保険者期間
①被保険者期間の算定(法14条1項)
・資格喪失日の前日(離職日)からさかのぼって1箇月ごとに区切ってい
き、その区切られた1ヶ月間に賃金支払基礎日数が11日以上ある場合
に、1箇月として計算する
・1箇月未満の端数が生じる場合、日数が15日以上あり、賃金支払基礎
日数が11日以上あるときは、2分の1箇月として計算する
●賃金支払基礎日数の計算
・賃金支払基礎日数
休業手当と有給休暇の日数等は、その日数に算入される
・月給者の賃金支払基礎日数
月間全部を拘束する意味の月給制であれば、31日(30,29,28日)であ
り、日曜を除いた期間に対する給与であればその期間の日数となる
欠勤して給与を差し引かれた場合(日給月給者も同じ)は、その控除後の
日数とする
・日給者の賃金支払基礎日数
休業手当と有給休暇の日数等は、その日数に算入される
・翌日にわたる深夜労働の場合
8時間を超える場合には、2日として計算する
●未払賃金がある場合
基礎日数が11日以上あればその月は被保険者期間に算入する
●家族手当等が1月分ある場合
家族手当、住宅手当等の支給が1月分ある場合でも、本給が11日未満し
か支給されないときは、その月は被保険者期間に算入しない
②被保険者であった期間から除外する期間(法14条2項)
・最後に被保険者となった日前の、受給資格、高年齢受給資格又は特例受
給資格に係る離職日以前の被保険者期間
・被保険者となったことの確認があった日の2年前の日前における被保険
者期間
③日雇労働被保険者の特例
1)日雇労働被保険者であった者に係る被保険者期間の特例(法56条1項、
法56条の2,1項)
・2月の各月に18日以上雇用された場合の特例
その2月の翌々月の末までに届け出ることによりその2月を一般被保
険者期間として計算する措置の適用を受けることができる
ただし、その2月の翌月に離職し、その離職した月に日雇労働求職者
給付金を受けた場合はこの限りではない
・継続して31日以上雇用された場合の特例
継続して雇用された期間の最後の日の属する月の翌月末までに届け出
ることのより、その期間を一般被保険者として計算する措置の適用を
受けることができる
ただし、継続するに至った日の属する月の翌月に離職し、日雇労働求
職者給付金を受けた場合はこの限りではない
2)日雇労働求職者給付金の支給についての特例
同一の事業主に前2月の各月のおいて18日以上又は継続して31日以上
雇用された日雇労働被保険者が、日雇労働被保険者資格の継続の認可を
受けなかったため、日雇労働被保険者とされなくなった最初の月に離職
し、失業した場合には、その失業した月の間におけるに日雇労働求職者
給付金の支給については、その者を日雇労働被保険者とみなし、その月
に日雇労働求職者給付金の支給を受けることができる
3.基本手当の受給資格
(1)失業の認定
①失業の認定
基本手当は、受給資格者が失業していることについて認定を受けた日に限
り支給する
失業していることについて認定を受けようとする受給資格者は、離職後、
省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭し、求職の申し込みを
しなければならない
1)受給資格の決定
基本手当を受けようとする者は、管轄公共職業安定所に出頭し、離職票
を提出しなければならない
管轄公共職業安定所長は、離職票を提出した者が、基本手当の受給資格
の規定に該当すると認めたときは、失業の認定日を定め、受給資格者証
を交付しなければならない
*離職票には、運転免許証その他の本人であることを確認することがで
きる書類を添えなければならない
2)認定手続き
失業の認定を受けようとするときは、失業認定日に、管轄公共職業安定
所に出頭し、失業認定申請書に受給資格者証を添えて提出した上、職業
の紹介を求めなければならない
*所定の認定日に出頭しないときは、認定対象期間の全部について認定
しないこととなる
*失業の認定は、未支給の失業等給付に係る場合(本人死亡の場合)を除
き、原則として代理人による失業の認定を受けることはできない
3)求職活動の確認
面接、職業の紹介、又は職業指導を受けたこと、その他求職活動を行っ
たことを確認して行う
*認定対象期間に、原則として、2回以上の求職活動実績
*就職が困難な者である場合、最初の失業の認定日における認定対象期
間である場合、認定対象期間の日数が14日未満である場合には、1回
以上あれば足りる
管轄公共職業安定所長は、失業認定申請書の求職活動の内容を確認し、
職業の紹介又は職業指導を行うものとする
②失業の認定日
1)求職の申し込みを受けた公共職業安定所において、離職後最初に出頭
した日から起算して4週間に1回ずつ直前の28日の各日について行う
ものとする
2)公共職業訓練等を受ける受給資格者については、1月に1回、直前の
月に属する各日について行うものとする
③失業の認定日の変更
厚生労働大臣は、次に掲げる受給資格者に係る失業の認定について別段の
定めをすることができる
1)職業に就くためその他やむを得ない理由のために失業の認定日に出頭
できない者であって、その旨を申し出た者
2)行政機関の休日、労働市場の状況その他の事情を勘案して、失業の認
定日を変更することが適当であると認める者
●認定日変更の対象となる「やむを得ない理由」
就職、証明書による認定、面接(採用試験を含む)、国家試験及び資格試
験受験等
●認定日変更の申出
原則として、事前にしなければならない
●認定日を変更した場合の認定対象期間
1)認定日前
申出を受けた日前の各日について行われる
2)認定日後
認定日における認定対象日及び認定日から申出を受けた日前の各日に
ついて行われる
3)認定日を変更して失業の認定が行われたとき
認定日の変更の申出を受けた日から当該失業の認定日の前日までの各
日について行われる
④証明書による認定
受給資格者が、次のいずれかに該当するときは、公共職業安定所に出頭す
ることができなかった理由を記載した証明書を提出することによって失業
の認定を受けることができる
1)疾病又は負傷のため出頭することができなかった場合において、その
期間が継続して15日未満であるとき
2)公共職業安定所の照会に応じて求人者に面接するために出頭すること
ができなかったとき
3)公共職業安定所長の指示で公共職業訓練等を受けるために出頭できな
かったとき
4)天災その他やむを得ない理由により出頭できなかったとき
(2)基本手当の支給
①基本手当は、4週間に1回、失業の認定を受けた日分を支給する
ただし、公共職業訓練等を受ける受給資格者等に関して別段の取り決めを
することができる
*公共職業訓練等を受講する者については1月に1回支給される
②公共職業安定所長は、基本手当を支給すべき日を定め通知するものとす
る
●基本手当の支給手続
支給日に管轄公共職業安定所に出頭し、原則として、受給資格者証を提出
しなければならない
●代理人による基本手当の受給
やむを得ない理由により支給日に出頭できないときは、代理人によって基
本手当の支給を受けることができる
注意: 代理人による失業の認定は原則として認められていない
*未支給の失業等給付に係るもの及び公共職業能力開発施設に入校中の場
合は代理人による失業の認定が認められている
4.基本手当日額
(1)賃金
賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対象として事
業主が労働者に支払うもの(通貨以外のものについては、厚生労働省令で定
める範囲外のものを除く)
*賃金に算入すべき通貨以外のものの範囲は、 食事及び住居の利益のほ
か、公共職業安定所長が定めるところによる
(2)賃金日額
①算定の原則
算定対象期間において被保険者期間として計算された最後の6ヶ月間に支
払われた賃金(臨時に支払われた賃金及び3箇月を超える期間ごとに支払
われる賃金を除く)の総額を180で除して得た額
*離職後に労使協定がなされ離職前にさかのぼって昇給することとなった
ような場合は、算入しない
*時間外労働及び休日労働に対する手当は、算入する
*いわゆる退職金、祝金、見舞金は、算入しない
*離職後に未払い額として認定した額を超えて未払い賃金が支払われた場
合には、再計算が行われる
②算定の例外
1)日給・時給等の場合の最低保障
・賃金が、労働した日若しくは時間によって算定され、又は出来高払
制その他の請負制によって定められている場合には、前項に規定する
最後の6ヶ月間に支払われた賃金の総額を当該最後の6ヶ月間に労働
した日数で除して得た額の100分の70に相当する額
・賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められている場合
には、その部分の総額をその期間の日数(月によって定められている
場合は30日として計算する)で除した額と上記の掲げる額との合計額
2)算定困難等の場合の処理
算定が困難であるとき、又は算定した日額が適当でないと認められると
きは、厚生労働大臣が定めるところによる
*休業・所定労働時間短縮措置適用時の特例
所定労時間の短縮が行われた場合であって、かつ、倒産・解雇等離職
者又は特定理由離職者として受給資格の決定を受けた場合には、休業
開始前又は所定労働時間短縮開始前の賃金日額と離職時の賃金日額を
比較していずれか高い方の賃金日額に基づいて基本手当の日額を算定
する
3)最低・最高限度額の適用
前3項の規定にしたがって算定した賃金日額のかかわらず、次の最低限
度額と最高限度額を賃金日額として適用する
・最低限度額
2,330円
・最高限度額
60歳以上65歳未満 15,060円
45歳以上60歳未満 15,780円
30歳以上45歳未満 14,340円
30歳未満 12,910円
(3)基本手当日額
①基本手当日額の算定
賃金日額に一定率(給付率)を乗じて得た額を基本手当日額とする
基本手当日額=賃金日額×給付率*
*給付率
60歳未満 50%から80%
60歳以上65歳未満 45%から80%
(1円未満切り捨て)
②基本手当の減額
1)支給額の調整
・基本手当日額+(収入-1,299円)≦賃金日額×80%の場合
全額支給
・基本手当日額+(収入-1,299円)>賃金日額×80%の場合
減額支給(超える額を基本手当日額から控除した額となる)
・[基本手当日額+(収入-1,299円)]-賃金日額×80%≧基本手当日額
(収入-1,299円>賃金日額×80%のケース)
不支給
2)収入の届出
失業認定を受けた期間中に自己の労働によって収入を得たときは、その
収入の額その他の事項を公共職業安定所長に届け出なければならない
(4)自動的変更
①自動変更対象額の変更
厚生労働大臣は、年度の平均給与額が直近の自動変更対象額が変更された
年度の前年度の平均給与額を超え、又は下がるに至った場合においては、
その比率に応じて、その翌年度8月1日以後の自動変更対象額に変更しな
ければならない
5円未満切り捨て、5円以上10円未満は、10円に切り上げる
平均給与額とは、毎月勤労統計における平均定期給与額を基礎として算定
した労働者1人当たりの給与の平均額をいう
②控除額の変更
厚生労働大臣は、いわゆる内職収入控除額についても、自動変更対象額と
同様、変動率に応じて、その翌年度の8月1日以後変更しなければならな
い
5.基本手当の受給期間及び給付日数
(1)受給期間
①所定の受給期間
基本手当を受けることができる期間を受給期間という
受給期間は、原則として、受給資格者の区分ごとに次表のようになる
受給資格者の区分 | 受給期間 | |
①下記②③以外の受給資格者 |
離職日 (基準日) の翌日から 起算して |
1年 |
②基準日において45歳以上65歳未満であって算定基礎 期間が1年以上の就職困難者(所定給付日数が360日 である受給資格者) |
1年+60日 | |
③基準日において45歳以上60歳未満であって算定基礎 期間が20年以上の特定受給資格者(所定給付日数が 330日である特定受給資格者) |
1年+30日 |
②定年退職者等の特例
定年退職者等は、一定期間求職の申し込みをしない旨を公共職業安定所長
に申し出ることによって、1年間を限度として所定の受給期間を延長する
ことができる
所定の受給期間(原則1年*)+特例による延長期間(最大1年)
*1年+60日又は1年+30日
●受給期間延長の申出
離職の日の翌日から起算して2箇月以内に、受給期間延長申請書に離職
票を添えて管轄公共職業安定所長に提出
③職業に就けない場合の特例
所定の受給期間に次に掲げる理由により引き続き30日以上職業に就くこ
とができない者が、公共職業安定所長にその旨を申し出た場合の受給期間
は、所定の受給期間に、その日数を加算した期間(最大4年)とする
1)妊娠
2)出産
3)育児
4)疾病又は負傷(傷病手当を受ける場合を除く)
5)その他公共職業安定所長がやむを得ないと認めるもの
[所定の給付日数(原則1年*)+妊娠等により引き続き30日以上
職業に就くことができない期間](最大4年)
*1年+60日又は1年+30日
●受給期間延長の申出
引き続き30日以上職業に就くことができなくなるに至った日の翌日か
ら起算して1箇月以内に、受給期間延長申請書に医師の証明書等の書類
及び原則として受給資格者証を添えて管轄公共職業安定所長に提出
(2)待期
基本手当は、離職後最初に求職の申し込みをした日後失業している日(疾病
又は負傷のため職業に就くことができない日を含む)が、通算して7日に満
たない間は支給しない
●1受給期間内に通算して7日間、そして1回をもって足りる
(3)所定給付日数
【注意】
受給資格者について、一般の受給資格者、特定受給資格者、就職困難な受給
資格者のいずれに属するかによって所定給付日数が異なってくるので要注意
また、特定理由離職者Ⅰに該当するかどうかによっても所定給付日数が異な
ってくるので、それに該当するかどうかについても要注意
①所定給付日数
1)一般の受給資格者
算定基礎期間 区分 |
10年 未満 |
10年以上20年未満 | 20年以上 |
一般の受給資格者 | 90日 | 120日 | 150日 |
2)特定受給資格者及び特定理由離職者Ⅰ
算定基礎期間 区分 |
1年 未満 |
1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年 以上 |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ー |
30歳以上35歳未満 | 180日 | 210日 | 240日 | ||
35歳以上45歳未満 | 240日 | 270日 | |||
45歳以上60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
3)就職困難な受給資格者
算定基礎期間 区分 |
1年未満 | 1年以上 |
45歳未満 | 150日 | 300日 |
45歳以上65歳未満 | 360日 |
②特定受給資格者
1)倒産等による離職者
・倒産による離職
・被保険者の数を3で除して得た数を超える被保険者の離職による離職
・事業所の廃止による離職
・移転により通勤困難による離職(往復所要時間4時間以上)
2)解雇等による離職者
・解雇(自己の責めに帰すべき重大なな理由を除く)
・労働契約の条件が事実と著しく相違したこと(就職後1年以内に離職)
・賃金の額を3で除して得た額を上回る額が引き続き2箇月以上未払い
となったこと
・離職日の月以後6月のうちいずれかの月に支払われる賃金の額が当該
月前6月のうちいずれかの賃金の額の100分の85を下回ったこと
・離職日の月の6月前から離職月までのいずれかの月の賃金額に100分
の85を乗じて得た額を下回ったこと
・離職日の月前3月間において36協定等で定める労働時間の延長の限度
等に関する基準を超える時間外労働が行われたこと
・危険又は健康障害の発生のおそれについて行政機関から指摘されたに
もかかわらず、防止に必要な措置を講じなかったこと
・職種転換に際し、職業生活継続のための必要な配慮を行っていないこ
と
・期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用され
るに至った場合において、更新を希望していたにもかかわらず更新さ
れなかったこと
・期間の定めのある労働契約の締結に際し更新されることが明示された
場合において更新されないこととなったこと
・退職するよう勧奨を受けたこと(離職前1年以内、かつ募集期間3箇
月)
・使用者の責めに帰すべき理由により休業が引き続き3箇月以上となっ
たこと
・業務が法令に違反なしたこと
③特定理由離職者
1)特定理由離職者Ⅰ
期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、労働契約の更新がな
いこと(更新を希望したにもかかわらず合意に至らなかったものに限る)
2)特定理由離職者Ⅱ
・体力不足、心身の障害、疾病、負傷等によって退職したこと
・妊娠、出産、育児等により退職し、受給期間延長措置を90日以上受
けた場合
・家庭の事情が急変したことによって退職したこと
・配偶者または扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となった
ことによって退職した場合
・結婚に伴う住所変更、育児等、その他の理由で通勤不可能または困難
となったことにより退職した場合
・直接若しくは間接に退職を勧奨されたことにより、又は希望退職に応
じて退職した場合
④就職困難な受給資格者
身体障害者、知的障害者及び精神障害者等
⑤算定基礎期間
離職日以前の被保険者であった期間を通算した期間をいう
しかし、次の期間は被保険者であった期間に通算しない
1)育児休業給付金の支給に係る休業の期間
2)離職後1年以内に被保険者資格を再取得しなかった場合の前の被保
険者であった期間
3)以前に基本手当又は特例一時金の支給を受けたことがある場合の給
付の支給の算定基礎となった期間
4)被保険者となったことの確認があった日の2年前の日より前の期間
遡及適用期間の改善
上記4)の通り、原則としては、算入しないことになっているが、事
業主が届け出を行わなかったために未加入となっていた者のうち、雇
用保険料が控除されていたことが賃金台帳等の書類により確認された
ものについては、2年を超えて遡及適用が可能となる
この場合、賃金台帳等により雇用保険料の控除が確認された最も古い
日(2年以上前の日)を被保険者になった日として遡及適用する
2年前の日よりも前の期間に育児休業給付及び介護休業給付のみなし
被保険者期間についても、特例により遡及適用期間に算入する
6.延長給付
(1)訓練延長給付
①待期中及び受講中の訓練延長給付
受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等(2年を超える
者を除く)を受ける場合には、公共職業訓練等を受ける期間内の失業して
いる日について、所定給付日数を超えて基本手当を支給する(訓練等を受
けるため待期している期間、訓練等を受け始める前日までの引き続く90
日間の期間に限る)
●待期中の訓練延長給付
前日までの引き続く90日間内の失業している日(受給期間も延長)
●受講中の訓練延長給付
失業認定を受ける都度、公共職業訓練等受講証明書を提出
②受講後の訓練延長給付
公共職業訓練等を受け終わってもなお就職が相当程度に困難なものである
と認める者(支給残日数が30日に満たない者に限る)については、30日
から支給残日数を差し引いた日数を限度として所定給付日数を超えて基本
手当を支給する
待期中(90日以内) | 受講中(2年以内) | 受講後(30日内) |
(2)広域延長給付
90日を限度として支給される(受給期間は90日延長)
①発動基準
地域の基本手当の初回受給率≧全国平均の基本手当の初回の受給率×2、
かつ、その状態が継続すると認められる
②実施期間が終了した場合
広域職業紹介活動命令の実施期間が終了した場合や広域延長措置の指定期
間の末日が到来した場合は、支給終了前であっても給付は打ち切られる
③他の地域からの移転
広域延長措置が決定された日以後に他の地域から措置に係る地域に移転し
た受給資格者は、当該措置に基づく基本手当を受けようとするときは、管
轄公共職業安定所に出頭して、その移転について特別な理由がある旨を申
し出なければならない
④他の地域への移転
広域延長給付を受けることができる者が、厚生労働大臣が指定する住所等
を変更したときは、引き続き支給を受けることができるが、延長できる日
数は移転前後を通じ90日である
(3)全国延長給付
厚生労働大臣は、失業の状況が全国的に著しく悪化し、受給資格者の就職状
況からみて必要であると認めるときは、その指定する期間内に限り、所定の
受給期間に90日を加えた期間内の失業している日について、90日を限度と
して所定給付日数を超えて基本手当を支給する措置を決定することができる
①全国延長給付の発動基準
連続する4月間の全国平均の基本手当の受給率が4%を超え、同期間の全
国の基本手当の初回受給率が低下する傾向になく、かつ、これらの状態が
継続する認められる場合
②指定期間の末日が到来したとき
支給終了前であっても打ち切られる
③指定期間の延長
失業の状況が改善されない場合には、指定期間を延長することができる
(4)個別延長給付
特定理由離職者Ⅰ又は特定受給資格者のうち、就職が困難であると認めた者
について、原則として、所定給付日数を60日(算定基礎期間が20年以上、か
つ、基準日に年齢が35歳以上60歳未満である場合は30日)延長する「個別延
長給付」の規定が、平成21年3月31日から平成26年3月31日まで設けられて
いる
(5)延長給付に関する調整
①延長給付間の優先順位
1)個別延長給付
2)広域延長給付
3)全国延長給付
4)訓練延長給付
②延長給付間の調整
優先度の高い延長給付が終わり次第、次に優先度の低い延長給付が引き続
き支給される
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