■標準報酬
1.報酬及び賞与
賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかに問わず、労働の
対償として、受けるべきもの
ただし、臨時に受けるもの及び3つを超える期間ごとに受けるものはこの限り
ではない
通貨以外のもので支払われる場合は、その地方の時価によって、厚生労働大臣
が定める
健康保険組合は、上記の規定に係らず、規約で別段の定めをすることができる
●退職金
原則として、報酬又は賞与には該当しないものと取り扱う
退職金の前払いが、在職時に行われる場合は、報酬又は賞与に該当する
●年4回以上支給されない通勤費(6箇月ごとに支給される定期券等)は、報酬
の範囲に含まれる
2.標準報酬月額
(1)標準報酬月額の決定
第1級 標準報酬月額58,000円 報酬月額63,000円未満
第47級 標準報酬月額1,210,000円 報酬月額1,175,000円以上
*平成19年3月までは、下限98,000円(第1級)、上限980,000円(第39級)と
されていた
(2)2以上の事業所に使用される場合の報酬月額の決定
同時に2以上の事業所で報酬を受ける被保険者について報酬月額を算定する
場合は、各事業所について、定時決定等の規定によって算定した額の合計を
報酬月額とする
(3)等級区分の改定
毎年3月31日における標準報酬月額等級の最高等級の被保険者数の被保険者
総数に占める割合が100分の1.5を超える場合に、その状態が継続すると認
められるときは、その年の9月1日から最高等級の上にさらに等級を加える
標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる
ただし、その年の3月31日において、最高等級の被保険者数の同日における
被保険者総数に占める割合が100分の1を下回ってはならない
厚生労働大臣は、社会保障審議会に意見聴くものとする
3.定時決定
(1)定時決定
毎年7月1日現に使用される事業所において同日前3月間(継続して使用され
た期間に限り、かつ報酬支払基礎日数が17日未満である月を除く)に受けた
報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月
を決定する
*「4月、5月及び6月に受けた報酬」とは、「4月、5月及び6月に実際に支給
された報酬をさす
●短時間就労者の報酬月額
4月、5月及び6月の報酬支払基礎日数 | 標準報酬月額の決定方法 |
(1)3か月とも17日以上ある場合 | 3か月の報酬月額の平均額をもとに決定 |
(2)1か月でも17日以上ある場合 |
17日以上の月の報酬月額の平均額をも とに決定 |
(3)3か月とも15日以上17日未満の場合 | 3か月の報酬月額の平均額をもとの決定 |
(4)1か月又は2か月は15日以上17日未 満の場合(ただし、1か月でも17日 以上ある場合を除く) |
15日以上17日未満の月の報酬月額の平 均額をもとに決定する |
(5)3か月とも15日未満の場合 | 従前の標準報酬月額で決定 |
●賞与が年4回以上支給される場合
当該賞与は報酬に該当し、定時決定又は7月、8月若しくは9月の随時決定
の際には、7月1日前の①年間に受けた賞与の額を12で除して得た額を報
酬額として算定する
●一時帰休に伴う休業手当が支給された場合
定時決定の対象月に、一時帰休が行われ、通常の報酬より低額の休業手当
が支払われた場合は、その休業手当をもって腐臭月額を算定し、標準報酬
月額を決定する
ただし、決定の際に、一時帰休の状況が解消している場合は、定時決定を
行う年の9月以後において受けるべき報酬をもって報酬月額を算定し、
標準報酬月額を決定する
また、休業手当をもって標準報酬月額の決定を行った後に一時帰休が解消
したときは、随時決定の対象とする
*育児・介護休業期間中の被保険者の標準報酬月額は、その休業期間中にお
ける育児・介護休業手当の支給の有無にかかわらず、休業開始直前の標準
報酬月額の基礎となった報酬月額に基づいて算定した額(従前の標準報酬
月額)とする
(2)定時決定の対象者
毎年7月1日に使用されている被保険者である
ただし、次の者については、その年の定時決定の対象から外される
①6月1日から7月1日までの間に被保険者の資格を取得したもの
*資格取得時決定時の標準報酬月額を原則翌年8月まで用いる
②7月から9月までのいずれかの月から標準報酬月額を改定(随時改定又は育
児休業等終了時決定)され又は改定される予定の被保険者
*当該改定された標準報酬月額を原則翌年8月まで用いる
(3)保険者等算定
保険者等は、被保険者の報酬月が、額定時決定等の規定によって算定した額
が著しく不当であると認めるときは、その算定する額を報酬月額とする
保険者が健康保険組合であるときは、規約で定めなければならない
●保険者等算定が行われるケース
①算定困難な時
4月、5月、6月とも支払基礎日数が17日未満
②所定の方法で算定すると著しく不当な額となるとき
1)4月、5月、6月の3箇月間において3月分以前の給料の遅配分の支払を
受け、又はさかのぼって昇給によって数箇月分の差額を一括して受ける
等、通常受けるべき報酬以外の報酬を当該期間において受けた場合
遅配分や昇給の差額支給分を差し引いて算定する
2)4月、5月、6月のいずれかの月において低額の休職給を受けた場合
休職給を受けた月を除いて算定する
いずれの月も低額の休職給を受けていない場合は、「3月とも報酬を
受けていない場合」に該当し、従前の報酬月額
3)4月、5月、6月のいずれかの月においてストライキによる賃金カット
があった場合
上記の休職給の場合と同様にして算定する
4)業務の性質上、季節的に報酬が変動することにより、通常の方法によ
って報酬月額の算定を行うことが著しく不当であると認められる場合
前年7月から当年6月までに受けた報酬の月平均額から算出した報酬
月額により標準報酬月額を決定する
(4)有効期間
その年の9月から翌年の8月まで
(5)届出
毎年7月1日現に使用する被保険者の報酬月額に関する報告は、同月10日
までに報酬月額算定基礎届を機構又は健康保険組合に提出する
4.資格取得時決定
(1)報酬月額の算定方法
①月、週その他の一定期間によって報酬が定められている場合
資格を取得した日の現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の
30倍に相当する額
②日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められている場合
資格を取得した月前1月間に事業所で同様の業務に従事し、かつ、同様の
報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額
③上記の規定によって算定することが困難であるもの
被保険者資格を取得した月ま1月間に、その地方で同様の業務に従事し、
かつ、同様の報酬を受ける者の受けた報酬の額
④上記のうち2以上に該当する報酬を受ける場合
上記の規定のよって算定した額の合計額
(2)有効期間
①1月1日から5月31日までの間に資格を取得した場合
資格を取得した月からその年の8月まで
②6月1日から12月31日までの間に資格を取得した場合
資格を取得した月から翌年の8月まで
(3)届出
資格を取得した日から5日以内に被保険者資格取得届を機構又は健康保険組合
に手出する
5.随時改定
(1)随時改定の要件
①固定賃金の変動があったこと
②変動月以降継続して3月間のいずれの月も支払基礎日数が17日以上
③従前の標準報酬月額との間に2等級以上又はそれに相当する差があること
*算定対象月に、支払基礎日数が17日未満の月が1箇月でもあるときは、た
とえ2級以上の差が生じたとしても随時改定は行われない
*超勤手当、能率手当、日・日直手当、皆勤手当、精勤手当などの非固定的
賃金の変動のみでは随時改定は行われない
*固定的賃金が昇給により上昇しても、他の賃金の減少により3月間の報酬
月額の平均額が従前のものと変わらない場合は、随時改定の対象にならな
い
(2)報酬月額の算定
①継続した3月間に受けた報酬の総額を3で除して得た額
②昇給が遡及したため、それに伴う差額支給によって報酬月額に変動が生じ
た場合は、保険者等が算定する
(3)有効期間
①1月から6月に改定された場合
その年の8月まで
②7月から12月に改定された場合
翌年の8月まで
(4)届出
速やかに、報酬月額変更届を機構又は健康保険組合に提出する
6.育児休業等終了時改定
(1)育児休業等終了時改定の要件
育児休業等を終了した日において、当該育児休業とに係る3歳に満たない子
を養育する場合において、事業主を経由して保険者等に申出をしたときは、
育児休業等終了日の翌日が属する月以後3月間に受けた報酬の総額をその期
間の月数で除して得た額を報酬月額をして改定する(育児休業等終了日の翌
日から起算して2月を経過した日の属する月の翌月から標準報酬月額が改定
される)
継続して使用された期間に限るものとし、かつ、支払基礎日数が17日未満
である月が時は、その月は除くものとする
*随時改定の場合とは異なり、2等級以上の変動が生じている必要はない
*固定的賃金の変動を伴う必要もない
*非固定的賃金の変動があっても改定される
*改定の理由については問われない(例えば、所定労働時間の短縮措置によ
って報酬が低下している必要はない)
(2)報酬月額の算定
育児休業等終了日の翌日が属する月以後3月間に受けた報酬の総額をその期
間の月数で除して得た額を報酬月額とする
ただし、継続して使用された期間に限るものとす、かつ、支払基礎日数が
17日未満である月があるときは、その月は除く
(3)有効期間
①1月から6月に改定された場合
その年の8月まで
②7月から12月に改定された場合
翌年の8月まで
(4)届出
速やかに、機構又は健康保険組合に届出を提出する
7.任意継続被保険者等の標準報酬月額
(1)任意継続被保険者の標準報酬月額
次に掲げる額のうちいずれか少ない額
①資格を喪失したときの標準報酬月額
②前年(1月から3月までは、前々年)の9月30日における全被保険者の標準
報酬月額を平均した額を報酬月額とみなした標準報酬月額
(2)特例退職被保険者の標準報酬月額
[①+②×1/2]の範囲内において規約で定めた額とする
①前年(1月から3月までは、前々年)における特例退職被保険者以外の全被
保険者の標準報酬月額の平均額
②前年(1月から3月までは、前々年)の全被保険者の標準賞与額の平均額の
12分の1
8.標準賞与額
(1)標準賞与額の決定
1000円未満の端数は切り捨て、そして累計額が540万円
(2)賞与支払届
賞与を支払った日から5日以内に、賞与支払届を機構又は健康保険組合に提
出
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