■適用
1.適用事業
(1)適用事業
労働者を使用する事業を適用事業所とする
したがって、労働者を一人でも使用する事業所は、原則として、労災保険の
適用事業とされる
労働者を使用する事業であれば、暫定任意適用事業所等の一部を除き、届出
の有無にかかわらず、その事業が開始された日に法律上当然の労災保険に係
る保険関係が成立する
労働者を使用する事業であれば、必ずしも労働者を常時使用しなくても、暫
定任意適用事業所等の一部を除き、適用事業に該当する
(2)適用除外
①官公署に対する適用の取扱い
次のものについては、他の法律(国家公務員災害補償法等)に基づく災害
補償制度により保護が与えられるため、労災保険は適用されない
1)国の直営事業(国有林野の事業を指す)
2)非現業の官公署
取扱いをまとめると次のようになる
現業部門 | 非現業部門 | |
国 | 適用除外 | 適用除外 |
地方公共団体 | 非常勤職員のみ適用 | 適用除外 |
②独立行政法人に対する適用の取扱い
独立行政法人国立印刷局、独立行政法人造幣局等の特定独立行政法人には
国家公務員災害補償法が適用されるため、労災保険法は適用されないが、
特定独立行政法人以外の独立行政法人には労災保険法が適用される
なお、独立行政法人に対する適用の取扱いは、以下の通り労働基準法と異
なる
労働基準法 | 労災保険法 | |
特定独立行政法人 | 適用 | 適用除外 |
独立行政法人 | 適用 | 適用 |
(3)適用労働者
労災保険の適用を受ける労働者のことを「適用労働者」という
●労災保険法の労働者とは労働基準法第9条に規定する労働者と同義で、個
人事業主、法人の代表取締役は適用労働者とはならず、また、同居の親族
も原則として適用労働者とはならない
●労働者であれば、常用雇用労働者に限らず、臨時雇、日雇、アルバイト。
パートタイマー、使用期間中の者等雇用形態に関係なく適用の対象となる
①複数就業者
それぞれの事業において適用労働者となる
②派遣労働者
派遣元事業主の事業が適用事業となる
③出向労働者
在籍出向労働者の労災保険法の適用については、その者に係る保険関係が
出向元事業と出向先事業のいずれにあるかを決定する
移籍出向労働者は、出向先事業主の事業に係る保険関係により取り扱われ
る
④外国人労働者
不法就労者であっても、適用労働者となる
⑤国外就労者
海外派遣者は、労災保険法の適用は受けない(ただし、特別加入者になる
ことができる場合がある)
一方、海外出張者については、原則として、適用を受ける
また、現地採用された日本人職員は適用労働者とならない
⑥在宅勤務者
在宅勤務を行う場合においても、労災保険法は適用される
⑦技能実習生として就労する外国人
法改正により適用されることとなった
2.暫定任意適用事業所
(1)暫定任意適用事業の範囲
事業の 種類 |
暫定任意適用事業の要件 | |||
農業(畜産 ・養蚕業 を含む) |
個 人 経 営 |
事業主が特別加入していない |
常時使用 労働者数 5人未満 |
特定危険 有害作業 を行う事 業ではな い |
水産業 |
船員を使用して行う船舶所有者の事業 ではない かつ ・総トン数5トン未満の漁船 又は ・河川、湖沼、特定水面で操業する漁船 |
|||
林業 | 常時労働者を使用せず、かつ、年間使用労働者数延べ300人未満 |
(2)暫定任意適用事業の保険関係
労災保険の加入の申請をし、厚生労働大臣の認可があった場合には、その認
可のあった日に保険関係が成立する
また、使用される労働者の過半すが希望するときは、労災保険の加入の申請
をしなければならない
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