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日本で就労する外国人のカテゴリー <厚生労働省ホームページより>2017年5月1日

日本の労働市場における外国人労働者の占める割合はこれからますます増大することが予想されています。その外国人労働者の雇用に関する厚生労働省の以下に掲げた指針は非常に有意義なものです。

・日本で就労する外国人のカテゴリー(総数 約108.4万人の内訳)

 

出入国管理及び難民認定法上、以下の形態での就労が可能。
※外国人雇用状況届出(平成28年10月末現在)による。外国人雇用状況届出制度は、事業主が外国人の雇入れ・離職の際に、氏名、在留資格、在留期間等を確認した上でハローワークへ届出を行うことを義務づける制度 (雇用対策法第28条)。なお、「外交」「公用」及び「特別永住者」は対象外である。

 

(1)就労目的で在留が認められる者  約20万人

 

(いわゆる「専門的・技術的分野」)
・一部の在留資格については、上陸許可の基準を「我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情」を勘案して定めることとされている。

 

「専門的・技術的分野」に該当する主な在留資格

在留資格

具体例

教授

大学教授等

高度専門職

ポイント制による高度人材

経営・管理

企業等の経営者・管理者

法律・会計業務

弁護士、公認会計士等

医療

医師、歯科医師、看護師

研究

政府関係機関や私企業等の研究者

教育

中学校・高等学校等の語学教師等

技術 ・人文知識 ・国際業務

機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者等

企業内転勤

外国の事業所からの転勤者

技能

外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機の操縦者、貴金属等の加工職人等

 

(2)身分に基づき在留する者 約41.3万人

 

(「定住者」(主に日系人)、「永住者」、「日本人の配偶者等」等)
・これらの在留資格は在留中の活動に制限がないため、様々な分野で報酬を受ける活動が可能。

 

(3)技能実習 約21.1万人

 

・技能移転を通じた開発途上国への国際協力が目的。
・平成22年7月1日施行の改正入管法により、技能実習生は入国1年目から雇用関係のある「技能実習」の在留資格が付与されることになった(同日以後に資格変更をした技能実習生も同様。)。

 

(4)特定活動 約1.9万人

 

(EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士候補者、ワーキングホリデー等)
・「特定活動」の在留資格で我が国に在留する外国人は、個々の許可の内容により報酬を受ける活動の可否が決定。

 

*Economic Partnership Agreement (経済連携協定)

 

(5)資格外活動(留学生のアルバイト等) 約24万人

 

・本来の在留資格の活動を阻害しない範囲内(1週28時間以内等)で、相当と認められる場合に報酬を受ける活動が許可。

 

外国人の採用や雇用管理を考える事業主人事担当者の方へ               <厚生労働省ホームページより>(2017年4月24日)

外国人の活用好事例集 ~外国人と上手く協働していくために~

 

はじめに

 

 日本で働く外国人の方々は、平成28年時点で初めて100万人を突破し、近年増加
傾向にあります。


 政府としては、経済社会の活性化の観点から、専門的な知識や高度な技術を有す
る外国人の方々の就業を積極的に推進しており、このような外国人になり得る外国
人留学生の方々についても、日本国内での就職を積極的に推進しています。


 また、厚生労働省としては、外国人雇用サービスセンター等において、外国人求職
者や外国人を雇用する事業主の方々の支援を実施しており、平成29年3月からは、ハ
ローワークにおいて、外国人に対する母国語による職業相談業務等へのニーズが高
まっていることを踏まえ、10ヶ国語による電話通訳が可能な「多言語コンタクトセン
ター」を設置し、多言語対応力の強化を図っています。


 さらに、企業においても、グローバル化が進展する経済社会に対応するため、優秀
な外国人を確保することは、経営戦略上も重要な視点となっています。


 今般、こうした状況を踏まえ、株式会社中外は、厚生労働省から「外国人労働者の

活用事例に関する実態把握事業」を受託し、外国人を雇用している企業約50社を対
象とした雇用管理等に関するヒアリング調査を実施した上で、有識者で構成された
研究会において調査結果の分析を行い、好事例となる取組内容を取りまとめました。


 本冊子に掲載した好事例となる取組内容については、業種や企業規模にかかわら
ず、これから外国人の雇用を検討する企業や、雇用している外国人の雇用管理の改
善を検討している企業など、多種多様な企業において、参考にしていただける内容の
選定に努めました。


 本冊子がよりよい就労環境を整備するきっかけとなり、貴社において外国人と上

手く協働していくための一助となれば幸いです。

 

外国人と上手に協働していくための3つの要諦

 

1. 外国人にとっても魅力的な就労環境を整備し、自社が求める人物像を事前にはっきりと

  させた上で、効果的な募集・採用経路を選択しましょう。

 

 日本で就労する外国人は、「評価システムが不透明であること」や「昇進が遅いこと」に不満を感じています。優秀な外国人を確保し、自社の生産性を向上させていくためには、外国人にとっても魅力的な就労環境を整備していくことが重要であり、そのためのキーワードが、「職務内容の明確化」と「公正な能力評価・処遇の実現」です。


 こうした観点は、ミスマッチによる早期離職等の防止にもつながり、入社後の外国人社員の定着にも資することが期待できます。


 また、募集・採用では、専門的な知識や高度な技術を有することや英語が堪能であること等、求める人物像の明確化が必要です。その上で、海外で開催される就活イベントに参加し、海外大学の優秀な外国人学生を積極的に確保する方法や、外国人社員がSNSを利用し形成している同国出身者のコミュニティを活用し採用する方法等といった外国人特有の経路があることも踏まえ、求める人材を確保するために効果的な方法を選択していくことが重要です。

 

2. 「言語」 「能力開発」 「メンタルサポート」 「安全衛生」 「宗教・文化」などについて、ボーダ

  レスな職場環境を目指しましょう。

 

 外国人社員の日本語能力を向上させることは、日本人社員との円滑なコミュニケーションが促進され、生産性の向上につながっていくことが期待できます。他方で、職場の円滑なコミュニケーションを促進する方法は、外国人社員の日本語能力の向上だけではありません。自社の外国人社員の協力などにより、日本人社員の語学力を向上させることもその手法の一つであり、ボーダレスな職場環境を目指し、日本人社員が外国人社員に歩み寄っていく姿勢も忘れてはならない重要な視点です。


 この他、社員の能力開発、メンタルサポート、安全衛生の確保等の面でも、外国人であることが障壁となり、日本人と同等の機会やサポートが得られないことがないように配慮し、ボーダレスな職場環境を目指しましょう。また、外国人社員の母国の宗教・文化を勉強する機会を設ける等、異文化を理解して尊重する姿勢を醸成することも大切です。


 なお、外国人の受入準備として、今後の企業戦略を見据えた受入れの必要性などについて、社内全体でよく認識を共有する等、自社の内なるグローバル化の進展にも着手しておくことが、ボーダレスな職場環境を構築するための有効な取組となります。

 

3.  日本での生活を開始する外国人社員は、言葉の壁などから、様々な困難に直面します。

  外国人社員が生活者として自立できるよう積極的にサポートしましょう。

 

 日本で新たな生活を開始する外国人社員には、行政手続、住居手続、銀行口座の開設手続など、来日したばかりの者にとっては非常に難しく、不安や負担を感じる手続が多くあります。例えば、居住地にある病院やスーパー等、生活していくために必要な施設等については事前に紹介することで、外国人社員が安心でき、信頼感の醸成にもつながっていきます。こうしたことに加えて、様々な手続を進めるに当たって、日本人社員が同行する等、外国人が生活者として自立できるまで、積極的にサポートしていきましょう。

 

■第1部 外国人社員を受け入れるに当たってのポイント

1. 募集・採用について

 

 海外で開催される就活イベントなども含めて、様々な採用機会を積極的に活用

 

   外国人を募集・採用するためには、自社ホームページによる告知、大学等との連携、合

  同説明会や就活フェアへの参加、外国人雇用サービスセンターやハローワークの活用と

  いったように、多種多様な方法があります。


   このうち、海外で開催される就活イベントに参加し、海外大学の優秀な外国人学生を

  積極的に確保しようとする企業も多く見受けられ、海外大学の学生の卒業時期に合わせる

  ために、通年採用を実施している企業もあります。


   また、自社の外国人社員がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用

  し形成している同国出身者のコミュニティを活用し、募集・採用を行っている企業もあり

  ます。


   外国人の募集・採用に当たっては、専門的な知識や高度な技術を有すること、英語が堪

  能であること、コミュニケーション能力が優れていることなど、自社が求めている能力や

  人材像を事前にはっきりとさせ、上記のような外国人ならではの募集・採用経路があるこ

  とも踏まえながら、求める人材を確保するために効果的な方法を選択していくことが重要

  です。

 

 ・外国人の受入準備として、自社の内なるグローバル化の進展にも着手

 

   事業主が、例えば企業戦略として海外での販路開拓を進めるため、外国人を採用する必

  要性があると考えたとしても、日本人社員がその必要性についてしっかり理解していなけ

  れば、採用後、外国人と上手く協働していくことが困難となる可能性があります。外国人

  を円滑に受け入れるためには、自社の今後の企業戦略を見据えて、受入れの必要性や在り

  方などについて社内全体でよく認識を共有し、自社の内なるグローバル化の進展に着手し

  ておくことが非常に有用です。

 

 募集・採用段階で職務内容やキャリアプランを明示することが有用

 

   外国人の募集・採用段階において、職種別採用やジョブ・ディスクリプション※などを

  活用して、職務内容、自社が期待する役割、キャリアプランなどを事前に明示しておくこ

  とが、ミスマッチによる入社後の早期離職やモチベーション低下の防止につながり、職務

  上の意思疎通も図られ、外国人と上手く協働しやすい就労環境の整備につながっていきま

  す。

   ※ジョブ・ディスクリプションとは、職務内容、権限の範囲、関連する責任などを詳細に記載したものです。

2. 配属・評価について

 

 ・職務上の意思疎通を円滑にするため、外国人社員を責任者に抜擢することも有用な選択肢

 

   労働生産性の高い就労環境を構築するためには、社員同士が円滑にコミュニケーション

  を図り、職務上の意思疎通を適切に行うことのできる環境の整備が重要です。


   このような環境を整備するための方策として、十分な日本語能力を有する外国人社員を

  積極的に責任者として抜擢することも有用な選択肢と考えられます。日本語能力が十分で

  ない外国人新入社員にとっては、母国語で相談できる頼もしい先輩となりますし、抜擢さ

  れた外国人社員は、日本人社員と外国人社員の架け橋となるキーマンとして活躍しなが

  ら、後輩の良き模範になろうと更なる成長を遂げてくれることも期待できます。

 

 外国人社員も納得できる公正な能力評価を構築することが重要

 

   日本で就労する外国人社員の多くは、能力評価が不透明であると不満に感じています。

  自分自身が企業にどのように評価され、何が期待されているのか等について、外国人社員

  は日本人社員と同等以上に関心を示す傾向にあります。不透明な能力評価は、外国人社員

  の早期離職やモチベーションの低下につながることが懸念されるため、外国人社員も納得

  できる公正な能力評価を構築していくことが重要です。また、公正な能力評価であって

  も、日本語が不得意な外国人社員に対しては、評価内容が正確に伝わらず、誤解が生じて

  しまう懸念もあります。誤解が生じないよう時間をかけて丁寧に説明することも方法の一

  つですが、評価内容を母国語に訳し伝える等、コミュニケーションの行き違いによるトラ

  ブルを未然に防ぐことも有用です。

 

 昇進方法を工夫し、相対的にキャリアアップ志向の強い外国人社員に配慮

 

   外国人社員も納得できる公正な能力評価を構築した後は、その評価結果を社員の処遇に

  対して、適切に反映させていくことが、外国人社員のモチベーションの向上につなげてい

  く上で、重要な視点です。例えば、人事評価の結果を昇進に即反映させることや、日本語

  が不得意な外国人社員の昇進試験の論文・面接は英語でも可能とすること等は、相対的に

  キャリアアップ志向の強い外国人社員のモチベーションの向上につながることが期待でき

  ます。

 

3. 職場環境の整備について

 

 ・外国人社員も気軽に悩み事などを相談できる職場環境を整備

 

   異国の地で就労する外国人社員は、職場で日本人社員と同等以上にストレスを感じ、

  様々な悩み事などが生じがちです。


   そこで、職場の上司とは別に、指導・相談役となる先輩社員が新入社員をサポートする

  メンター制度を導入し、外国人社員には、同国出身者であって、母国語で相談できるサ

  ポート役を配置する等、外国人社員も気軽に悩み事などを相談できる職場環境を整備して

  いくことが重要です。

 

 ・外国人社員の安全衛生面の管理を徹底

 

   外国人社員を雇用する事業主は、安全衛生に関する教育、労働災害防止のための日本

  教育の実施、標識や掲示の工夫に努める必要があります。


   特に、まさに生じる危険のある外国人社員の労働災害を防止するため、日本人社員が突

  発的に呼びかけようとする場合、外国人社員の母国語を用いるのは大変難しいことです。

  このため、外国人社員には、安全衛生上のキーワードは日本語で徹底的に理解してもら

  い、事業場内における労働災害防止に関する標識、掲示などについても、外国人社員の母

  国語を用いる等といった工夫をすることで、安全な職場環境を構築しましょう。

 

 ・外国人社員の母国の風習を勘案して、柔軟な休暇制度を用意することが有用

 

   外国人社員の母国には、日本とは異なる様々な風習があります。例えば、日本の風習で

  は、正月に日本人社員の多くが長期休暇を取得しますが、外国人社員の母国で異なる期間

  に新年を祝う風習がある場合、日本の正月における長期休暇は、外国人社員にとっては必

  ずしも有用であるとは言えません。


   外国人社員が母国の風習に合わせて長期休暇を取得できるように工夫すれば、仕事のモ

  チベーションを高めることにつながっていくことが期待されます。

 

4. 教育・育成について

 

 ・外国人社員だけでなく、日本人社員の語学力を向上させることで、相互理解を図ることも

  重要

 

   外国人社員の日本語能力を向上させることは、日本人社員との円滑なコミュニケーショ

  ンが促進され、労働生産性の高い就労環境の構築につながっていきます。例えば、様々な

  方法を用いた個別指導や、語学試験の受験料補助などを通じて、日本語を学習する機会を

  提供し、積極的に日本語の習得を支援していくことが重要です。


   加えて、円滑なコミュニケーションを促進するための手法は、外国人社員の語学力の向

  上のみに留まりません。自社の外国人社員の協力や外部講師の活用などにより、日本人社

  員の語学力を向上させることもその手法の一つであり、日本人社員が外国人社員に歩み

  寄っていく姿勢は忘れてはならない重要な視点です。企業においても、外国人社員の採用

  がきっかけとなり、グローバル化が進展する経済社会に対応するための日本人社員の育成

  を図るための良い契機になることが期待できます。 

 

 ・外国語で受験可能な資格も含めて、様々な資格の取得を推奨することが大切

 

   外国人社員の育成のために、業務に関連する様々な資格の取得を推奨することが有用で

  す。資格取得に向けてチャレンジすることは、外国人社員のモチベーションの向上につな

  がり、試験に合格して資格が取得できれば、自信にもつながります。また、企業として

  は、外国人社員の専門性の向上が、生産性の向上・会社業績の改善に結びつくことが期待

  できます。


   そこで、日本の資格情報に係る十分な知見を得るのが難しい外国人社員に対しては、業

  務に必要な資格とその取得のために有効な手段を事前に情報提供した上で、資格取得に要

  する費用補助や試験合格者の表彰制度の創設等が有用です。さらに、日本における資格だ

  けでなく、外国人社員が母国語で受験可能な海外における資格を積極的に評価することも

  重要な視点であり、資格取得を様々な側面から支援することが大切です。

 

 ・外国人社員のキャリア形成を的確に行える日本人管理職を育成

 

   相対的にキャリアアップ思考の強い外国人社員に対して、将来を見据えたキャリアプラ

  ンをしっかりと提示した上で、そのプランに沿って計画的に研修を実施できる日本人の管

  理職を育成していくことが、優秀な外国人を確保するための体制整備の一環として重要な

  取組です。

 

5. 生活支援等について

 

 ・日本での生活をスムーズに開始できるよう、日本人社員が同行して各種手続などを支援

 

   外国人が日本での生活を開始するために、一人で準備を進めていると、言葉の壁、文化

  や習慣の差異などから、様々な困難に直面します。例えば、行政手続や銀行口座の開設な

  どは、来日したばかりの外国人にとっては非常に難しい手続であり、日本人社員が同行し

  積極的にサポートすることで、外国人の不安や負担の軽減を図ることが重要です。

 

 ・生活面における宗教や文化の違いに配慮することが重要

 

   外国人を受け入れる際には、宗教や文化の違いにも配慮することが重要です。宗教に

  よっては、決められた時間帯に礼拝を捧げることが義務づけられており、就業時間中でも

  礼拝を行えるような環境があれば、外国人社員も安心できます。また、日本人社員が積極

  的に各国の文化を勉強する機会を設けるなど、異文化を理解して尊重する姿勢を醸成する

  ことも大切です。

 

 ・外国人社員の在留手続をサポート

 

   外国人は、原則として、一定の在留期間に限って日本に在留することができることと

  なっています。当初認められた在留期間後も在留を継続したい場合には、入国管理局で在

  留期間の更新に係る手続を行う必要があり、その手続をもし失念して在留期間を経過して

  しまった場合には、不法残留となってしまいます。外国人社員を適正に雇用するために、

  在留手続について積極的にサポートすることも重要です。