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特集記事 : 労働保険制度(制度紹介・手続き案内) 第1部                                                                                              <厚生労働省ホームページより>  掲載日16/11/07

労働保険制度(制度紹介・手続き案内)

 

~労働者を一人でも雇用していれば労働保険に加入する必要があります~

 

■制度概要

 

1.労働保険とはこのような制度です。

 

  ○ 労働保険とは労働者災害補償保険(一般に「労災保険」といいます。)  と雇用保険とを総称した言葉です。

 

  ○ 保険給付は両保険制度で別個に行われていますが、保険料の納付等については一体のものとして取り扱われています。

 

  ○ 労働者(パートタイマー、アルバイト含む)を一人でも雇用していれば、業種・規模の如何を問わず労働保険の適用事業となり、事業主は成立(加入)手続を行い、労働保険料を納付しなければなりません(農林水産の一部の事業は除きます。)。

 

  ○ この労働保険制度は、昭和50年に全面適用となってから既に30年余りを経過し、その間に適用事業数は着実に増加し、平成20年度末現在で約296万事業に達していますが、現在においてもなお相当数の未手続事業が存在しているとみられ、このことは、労働保険制度の健全な運営、費用の公平負担、労働者の福祉の向上等の観点から極めて重要な課題となっており、早急な未手続事業の解消が求められています。

 

  ○ このため、厚生労働省では、平成17度から「未手続事業一掃対策」に取り組み、各種事業主団体、個別事業主への訪問指導の強化や、自主的に保険関係の成立(加入)手続を取らない事業主に対しては、積極的な職権での成立手続の実施等を行っております。

 

※ 自主的に成立手続が行われない場合は、遡って労働保険料を徴収するほか、併せて追徴金を徴収することになります。

 

※ 労災保険未手続事業場に対する罰則が強化されました。

 

2.労災保険・雇用保険の特徴

 

  □労災保険とは

 

  労働者が業務上の事由又は通勤によって負傷したり、病気に見舞われたり、あるいは不幸にも死亡された場合に被災労働者や遺族を保護するため必要な保険給付を行うものです。

 

 

  また、労働者の社会復帰等を図るための事業も行っています。

 

 

  ・労災保険制度  

 

  ・労災保険率表(平成23年度(PDF:133KB),平成24年度~26年度(PDF:134KB) ,平成

   27年度~(PDF:161KB)) 

 

  ・労災保険率の設定について(PDF:74KB)

 

  ・労務費率表(平成24年度~平成26年度(PDF:75KB) ,平成27年度~ (PDF:68KB)) 

 

  ・「請負による建設の事業」における労務費率を用いた労災保険料の算定について 

   (PDF:180KB) 

 

  ・労災保険のメリット制について(PDF:697KB) 

 

  ・メリット制の改正点(平成24年度~)(PDF:2,004KB) 

 

  ・船舶所有者の事業のメリット制について(PDF:582KB) 

 

  ・労災保険率適用事業細目表(PDF:166KB) 

 

  ・船舶所有者の事業の種類の細目表(PDF:60KB)

 

  ・有期事業の一括ができる都道府県労働局の管轄区域

 

  □雇用保険とは

 

  労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、再就職を促進するため必要な給付を行うものです。

 

 

  また、失業の予防、雇用構造の改善等を図るための事業も行っています。

 

 

  ・雇用保険制度

 

  ・雇用保険率表 

 

事業の種類

保険率

事業主負担率

被保険者負担率

一般の事業

11/1000

7/1000

4/1000

農林水産
清酒製造の事業

13/1000

8/1000

5/1000

建設の事業

14/1000

9/1000

5/1000

 

3.労働保険関係用語集

用語 意味
一元適用事業

労災保険と雇用保険に係る保険関係の双方を一の事業についての保険関係として取り扱い、保険料の申告・納付等を一元的に処理する事業を呼びます。そのため、二元適用事業以外はすべて一元適用事業となります。

一般拠出金

「石綿による健康被害の救済に関する法律」により、労災補償の対象とならない石綿(アスベスト)健康被害者の救済費用に充てるため、平成19年度から徴収が開始されました。

石綿(アスベスト)は、全ての産業において、その基盤となる施設、設備、機材等に幅広く使用されていたため、健康被害者の救済に当たっては、アスベストの製造販売等を行ってきた事業の事業主のみならず、すべての労災保険適用事業主が一般拠出金を負担することとなっております(特別加入者や雇用保険のみ適用の事業主は、申告・納付の対象外です)。

料率は業種を問わず、一律1,000分の0.02です。なお、労災のメリット対象事業場であっても、一般拠出金にはメリット料率の適用(割増、割引)はありません。また、一般拠出金は全額事業主の負担となります。

(1)(対象)労災保険適用事業主の全事業主が対象です。

(2)(納付方法)労働保険料(確定保険料)と併せて申告・納付します。

(3)(料率)一般拠出金率は1000分の0.02です。

(4)(有期事業)平成19年4月1日以降に開始した事業(工事等)の分を申告・納付します。

※詳細についてはこちらをご覧ください。

一般保険料 

事業主が労働者に支払う賃金を基礎として算定する保険料をいい、年間の賃金総額に労災保険率と雇用保険率とを合計した率(労災保険に係る保険関係のみが成立している事業にあっては労災保険率、雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業にあっては雇用保険率)を乗じて計算します。 

一般保険料率 

一般保険料の額を算定する場合に用いる保険料率をいい、労災保険率と雇用保険率を加えた率をいいます(労災保険の保険関係のみが成立している事業にあっては労災保険率が一般保険料率となり、雇用保険の保険関係のみが成立している事業にあっては雇用保険率が一般保険料率となります)。

労災保険率は業務災害及び通勤災害に係る給付並びに労働者の福祉等に要する費用を考慮し事業の種類ごとに定められています。

雇用保険率は、失業等給付並びに労働者の雇用の安定や改善等に要する費用を考慮して定められています。 

印紙保険料 

雇用保険の日雇労働被保険者に係る保険料をいい、事業主は一般保険料のほか、日雇労働者を雇用するごとに印紙を添付して一定の額の保険料を納付します。 

請負事業の一括

建設の事業が数次の請負によって行われるとき、個々の下請負事業を独立した事業として保険関係を成立させることなく、法律上当然に数次の下請負事業を元請負事業に一括して元請負人のみを適用事業主として保険関係を成立させる制度をいいます。

なお、この制度は労災保険に係る保険関係に限って適用されます。
延滞金

労働保険料を滞納している事業主に対して課せられる徴収金(公法上の遅延利息)のことをいいます。延滞金は、政府より労働保険料の納付の督促をうけ、督促状に指定された期限までにこれを納付しないときに法定納期限の翌日からその完納又は財産差押えの日の前日までの日数により計算し徴収されます(年14.6%の率)。(納期限から2ヵ月については、「7.3%」と「前年の11月30日において日本銀行が定める期準割引率+4%」のいずれか低い割合)

継続事業

事業の期間が予定されない事業のことをいい、一般の工場、商店、事務所等が該当します。

継続事業の一括

二以上の継続事業を一の保険関係として取り扱い、保険料の申告・納付をまとめて処理する制度をいい、これを行うためには、政府の認可が必要であり「事業主が同一人であること」など一定の要件が具備されている必要があります。

概算保険料

年度当初又は事業が開始されたときにその保険年度(毎年4月1日から翌年3月31日まで)中に支払われる賃金総額の見込額に保険料率を乗じて算定する保険料をいいます。

確定保険料

毎保険年度の末日又は保険関係が消滅した日までに、使用した労働者に支払うことが確定した賃金総額(保険年度内に現実に支払われていないもの(例えば、3月中に賃金締切日があるが、4月1日以後に支払われる賃金)も含まれます。)に、保険料率を乗じて算定する保険料をいいます。

概算保険料の延納
(分割納付)

概算保険料を分割して納付する制度のことをいい、継続事業にあっては、納付すべき概算保険料の額が40万円(労災保険又は雇用保険のいずれか一方の保険関係のみが成立している事業については20万円)以上のもの又は労働保険事務の処理を労働保険事務組合に委託しているものであって、事業主が申請した場合、原則として3回に分けて納付することができます。

なお、有期事業(事業の期間が6カ月以内のものを除く。)については、概算保険料の額が75万円以上のもの又は労働保険事務の処理を労働保険事務組合に委託しているものについては事業主が申請した場合、その事業期間に応じて分割納付できます。

事業

個々の本店、支店、工場、鉱山、事務所のように、一つの経営組織として独立性をもった経営体を指します。

そのため、経営上一体をなす本店、支店、工場等を総合した企業そのものを指したものではありません。事業は、事業の期間が予定されているか否かにより、「有期事業」と「継続事業」に分けられます。また、労災保険と雇用保険を分けて適用するかにより「一元適用事業」と「二元適用事業」とに分けられます。

事業主

事業についての法律上の権利義務主体となるものをいい、会社等の法人の行う事業にあっては、当該会社等の法人が事業主となります。なお、建設の事業で数次の請負によって行われる場合は、原則として元請負人のみが事業主となり、下請負人は事業主には含まれません。

下請負事業の分離

建設の事業において、元請負人及び下請負人の申請により一定の事業の規模を有する下請負事業を元請負事業に一括することなく分離して保険関係を成立させる制度をいい、これを行うためには政府の認可が必要です。

下請事業の分離の認可を受けようとするときは、下請事業の概算保険料の額が160万円以上又は請負金額が1億9,000万円以上になる場合であって、元請負人と、下請負人が共同で、保険関係の成立の日の翌日から10日以内に、「下請負人を事業主とする認可申請書」(様式第4号)を提出する必要があります。

第一種特別加入保険料

労災保険に係る中小事業主等の特別加入者に係る保険料をいい、その額は保険料算定基礎額の総額に第一種特別加入保険料率(当該事業の労災保険率と同一の率)を乗じて計算します。

第二種特別加入保険料

労災保険に係る一人親方等の特別加入者に係る保険料をいい、その額は保険料算定基礎額の総額に第二種特別加入保険料率を乗じて計算します。

第三種特別加入保険料

労災保険に係る海外派遣者に係る保険料をいい、その額は保険料算定基礎額の総額に第三種特別加入保険料率(1000分の3)を乗じて計算します

賃金

労働保険でいう賃金とは、賃金、給料、手当、賞与、その他名称の如何を問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うものをいいます。一般に、労働協約、就業規則、労働契約などにより、その支払いが事業主に義務づけられているものとなりますので、任意的なもの、恩恵的なもの、実費弁償的なものは、労働の対償として支払うものではないので、賃金には含まれません。

※詳細についてはこちらをご覧ください。

追徴金

事業主が保険料を申告しないとき、又は過少に申告したときに課せられる懲罰的金銭のことをいいます。

追徴金は政府が確定保険料の額を決定したときにその確定保険料の額又はその不足額に対して10%の割合で徴収されます。

適用事業

事業が開始された日又は適用事業に該当するに至ったとき(労働者を雇い入れたとき)に、事業主又は労働者の意思にかかわりなく保険関係が成立し、適用事業となります。

保険関係が成立した時から10日以内に事業主が「保険関係成立届」を所轄の監督署または安定所に提出する必要があります(徴収法第4条の二)。

特掲事業

失業等給付の負担の均衡化を図るために、短期雇用特例被保険者が多く雇用される事業については、雇用保険率を一般の事業と比して高くしています。これらの事業を特掲事業といい、

(1) 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業(園芸サービスの事業は除く。)

(2) 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他畜産、養蚕又は水産の事業(牛馬の育成、養鶏、酪農又は養豚の事業及び内水面養殖の事業は除く。)

(3) 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体又はその準備の事業(通常「建設の事業」といっている。)

(4) 清酒の製造の事業

の事業が該当します

ニ元適用事業

労災保険と雇用保険の適用労働者の範囲、適用方法に相違のある以下の事業については、両保険ごとにそれぞれ別に適用したほうが効率的なため、別個の事業とみなして二元的に処理することとなっております。これらを二元適用事業と呼びます。

(1) 都道府県及び市町村の行う事業

(2) 都道府県に準ずるもの及び市町村に準ずるものの行う事業

(3) 六大港湾(東京港、横浜港、名古屋港、大阪港、神戸港、関門港)における港湾運送の事業

(4) 農林水産の事業

(5) 建設の事業

暫定任意適用事業

労働保険に加入するのが、事業主及び労働者の任意になっている事業をいい、労働者数5人未満の個人経営の農林水産の事業(労災保険については、業務災害の発生のおそれが多いものとして厚生労働大臣が定めるものを除く。)に限られています。

保険関係

保険事故(業務災害、通勤災害、失業)が生じた場合に労働者ないし被保険者(労勧者)か保険者(政府)に保険給付を請求する権利をもち、これに対応して保険加入者(事業主)は、保険者に保険料を納付する義務を負うという権利義務関係の基礎となる継続的な法律関係のことをいいます。

保険料算定基礎額

特別加入者が労働災害を被ったとき補償される給付金の額を計算する基礎額(給付基礎日額)を365倍した額をいいます。

なお、この額は、厚生労働省令に定められているうちから特別加入者の希望を徴して都道府県労働局長が決定することになっています。

保険料率

保険料を算出する場合に用いる率のことをいい、

(1) 一般保険料率

(2) 第一種特別加入保険料率

(3) 第二種特別加入保険料率

(3) 第三種特別加入保険料率

の4種に分けられます。

メリット制

同一業種の事業主間の負担の具体的公平を図るため、個々の事業ごとに、その事業に係る労働災害の多寡により一定範囲で労災保険率又は労災保険料を増減させる制度を言います。継続事業については、労働者数が過去3年間100人以上の事業、又は過去3年間20人以上100人未満の労働者を使用する事業であって、それぞれ保険率(非業務災害率を除く。)と労働者数との積が0.4以上の事業について適用されます。

一括有期事業(建設の事業及び立木の伐採の事業)については、過去3年間のそれぞれの確定保険料が40万円以上(ただし、平成23年度以前の保険年度については、確定保険料が100万円以上)の事業について適用されます。

有期事業については建設の事業又は立木の伐採の事業にあっては確定保険料が40万円以上(ただし、平成23年度以前に成立した事業については、確定保険料が100万円以上)である事業、又は建設の事業にあっては請負金額(消費税相当額を除く。)が1億1千万円以上(ただし、平成26年度以前に成立した事業については、請負金額(消費税相当額を含む。)が1億2千万円以上)、立木の伐採の事業にあっては素材の生産量が1,000立方メートル以上である事業について適用されます。
※詳細についてはこちらをご覧ください(PDF:696KB   )。(メリット制の改正点(平成24年度~)(PDF:2,004KB)  )

有期事業

事業の期間が予定される事業のことをいい、建設の事業や立木の伐採の事業等が該当します。

有期事業の一括

建設の事業や立木の伐採の事業において、一定の要件を具備する二以上の小規模の有期事業が法律上当然に一括されて全体が一の事業とみなされ、継続事業と同様の方法で適用される制度をいいます。

なお、この制度は労災保険に係る保険関係に限って適用されます。

一括有期事業の要件は、建設の事業においては、一工事の請負額が1億9千万円未満、かつ、概算保険料額が160万円未満の場合、一括して申告(徴収法第7条)することになっていますが、一括できる工事は、隣接県及び厚生労働大臣が指定した都道府県の区域で行う工事に限られます。立木の伐採の事業にあっては、素材の見込生産量が1,000立方メートル未満で、かつ、概算保険料額が160万円未満の事業について適用されます。

※有期事業の一括ができる都道府県労働局の管轄区域についてはこちらをご覧ください。

労働保険事務組合

事業主の団体等が、団体等の構成員たる事業主の委託を受けて、労働保険事務を処理することについて厚生労働大臣の認可を受けた場合における当該団体等のことをいいます。

※詳細についてはこちらをご覧ください。

労働保険料

政府が、労働保険(労災保険、雇用保険)の事業の運営に要する費用に充てるため、主として事業主から徴収する保険料をいい、

(1) 一般保険料

(2) 第一種特別加入保険料

(3) 第二種特別加入保険料

(4) 第三種特別加入保険料

(5) 印紙保険料

の5種類に区分されます。

労務費率 

一般保険料は労働者に支払った賃金の総額に一般保険料率を乗じて算出しますが、建設の事業であって事業の特殊性から賃金総額を正確に算定するのが困難な事業(労災保険の保険関係に係るものに限る。)については、請負金額に一定の率を乗じて賃金総額を算出することが認められており(「賃金総額」の特例といいます。)、 労務費率とは、その時に使用する率をいい、事業の種類ごとに定められています。
※詳細についてはこちらをご覧ください(PDF:180KB)  。(労務費率表(PDF:68KB)  ) 

4.お支払いいただいた労働保険料(労災保険料、雇用保険料)の使用用途について

 

労災保険料(表面) [141KB]

 

雇用保険料(裏面) [110KB]

 

全体版 [194KB]

 

■労働保険の手続き方法

 

1.労働保険の成立手続(加入方法)

 

■成立手続等の方法

 

保険関係成立届、概算保険料申告書

 

 労働保険の適用事業となったときは、まず労働保険の保険関係成立届を所轄の労働基準監督署又は公共職業安定所に提出します。そして、その年度分の労働保険料(保険関係が成立した日からその年度の末日までに労働者に支払う賃金の総額の見込額に保険料率を乗じて得た額となります。)を概算保険料として申告・納付していただくこととなります。

 
雇用保険適用事業所設置届、雇用保険被保険者資格取得届

 

 雇用保険の適用事業となった場合は、上記のほかに、雇用保険適用事業所設置届及び雇用保険被保険者資格取得届を所轄の公共職業安定所に提出しなければなりません。

 

I 一元適用事業の場合

※一元適用事業とは、労災保険と雇用保険の保険料の申告・納付等を両保険一本として行う事業です。

 

(1) 保険関係成立届
(保険関係が成立した日から10日以内)
どこへ
 所轄の労働基準監督署
(2) 概算保険料申告書
(保険関係が成立した日から50日以内)
いずれかに
 所轄の労働基準監督署
 所轄の都道府県労働局
 日本銀行(代理店、歳入代理店(全国の銀行・信用金庫の本店又は支店、郵便局)でも可)
(3) 雇用保険適用事業所設置届
(設置の日から10日以内)
どこへ
 所轄の公共職業安定所
(4) 雇用保険被保険者資格取得届
(資格取得の事実があった日の翌月10日まで)
どこへ
 所轄の公共職業安定所

注1.(1)の手続を行った後又は同時に、(2)の手続を行います。

2.(1)の手続を行った後に、(3)及び(4)の手続を行います。

 

II 二元適用事業の場合

※二元適用事業とは、その事業の実態からして、労災保険と雇用保険の適用の仕方を区別する必要があるため、保険料の申告・納付等をそれぞれ別個に二元的に行う事業です。
一般に、農林漁業・建設業等が二元適用事業で、それ以外の事業が一元適用事業となります。

 

1. 労災保険に係る手続

(1) 保険関係成立届
(保険関係が成立した日から10日以内)
どこへ
 所轄の労働基準監督署
(2) 概算保険料申告書
(保険関係が成立した日から50日以内)
いずれかに
 所轄の労働基準監督署
 所轄の都道府県労働局
 日本銀行(代理店、歳入代理店(全国の銀行・信用金庫の本店又は支店、郵便局)でも可)

注.(1)の手続を行った後又は同時に、(2)の手続を行います。

 

2. 雇用保険に係る手続

(1) 保険関係成立届
(保険関係が成立した日から10日以内)
どこへ
 所轄の公共職業安定所
(2) 概算保険料申告書
(保険関係が成立した日から50日以内)
いずれかに
 所轄の都道府県労働局
 日本銀行(代理店、歳入代理店(全国の銀行・信用金庫の本店又は支店、郵便局)でも可)
(3) 雇用保険適用事業所設置届
(設置の日から10日以内)
どこへ
 所轄の公共職業安定所
(4) 雇用保険被保険者資格取得届
(資格取得の事実があった日の翌月10日まで)
どこへ
 所轄の公共職業安定所

注.(1)の手続を行った後又は同時に、(2)~(4)の手続を行います。

 

□成立手続を怠っていた場合には

成立手続を行うよう指導を受けたにもかかわらず、自主的に成立手続を行わない事業主に対しては、行政庁の職権による成立手続及び労働保険料の認定決定を行うこととなります。その際は、遡って労働保険料を徴収するほか、併せて追徴金を徴収することとなります。

また、事業主が故意又は重大な過失により労災保険に係る保険関係成立届を提出していない期間中に労働災害が生じ、労災保険給付を行った場合は、事業主から遡って労働保険料を徴収(併せて追徴金を徴収)するほかに、労災保険給付に要した費用の全部又は一部を徴収することになります。

 

2.労働保険料の申告・納付

 

■労働保険の年度更新

 

 労働保険の保険料は、年度当初に概算で申告・納付し翌年度の当初に確定申告の上精算することになっており、事業主の皆様には、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を併せて申告・納付していただくこととしています。


 これを、「年度更新」といい、原則として例年6月1日から7月10日までの間(※)にこの手続を行っていただきます。

 

 また、石綿健康被害救済法に基づく一般拠出金も、年度更新の際に労働保険料と併せて申告・納付することとなっております。

 

※ 平成21年度の年度更新手続から、申告・納付時が6月1日から7月10日までの間に変更になりました。

 

※ 7月10日が土曜日に当たるときは7月12日、日曜日に当たるときは7月11日までとなります。

 

電子申請による申請手続きをご利用下さい
電子政府の総合窓口

 

■労働保険料の延納(分割納付)

 

 概算保険料額が40万円(労災保険か雇用保険のどちらか一方の保険関係のみ成立している場合は20万円)以上の場合又は労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合は、原則として下記のとおり、労働保険料の納付を3回に分割する事ができます。

 

前年度以前に成立した

事業場

4/1~5/31に成立した

事業場

6/1~9/30に成立した

事業場

第1期 第2期 第3期 第1期 第2期 第3期 第1期 第2期
期間 4.1~7.31 8.1~11.30 12.1~3.31 成立した日~7.31 8.1~11.30 12.1~3.31 成立した日~11.30 12.1~3.31
納期限 7月10日 10月31日 1月31日 成立した日の
翌日から50日
(注)
10月31日 1月31日 成立した日の
翌日から50日
(注)
1月31日

      ※納期限が土曜日に当たるときはその翌々日、日曜日に当たるときはその翌日が納期限とな

       ります。
      (注)国税通則法第10条第1項の規定により、年度途中に新規成立した事業場については、期

        間の算定に初日を算入しません。

 

 ※労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合 

  労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合には、納期限が10月31日のものに

  ついては原則として11月14日、納期限が1月31日のものについては原則として2月14日

  となります。

 

  10月1日以降に成立した事業については、延納が認められませんので、成立した日から3

  月31日までの期間の保険料を一括して納付していただくことになります。

 

  有期事業については、事業の全期間が6ヵ月を超え、かつ概算保険料の額が75万円以上の

  ものはおおむね上記に準じた方法で分割納付が認められます。

 

増加概算保険料の申告・納付

 

 現行、年度の中途において、事業規模の拡大等により賃金総額の見込額が当初の申告より100分の200(2倍)を超えて増加し、かつ、その賃金総額によった場合の概算保険料の額が申告済の概算保険料よりも13万円以上増加する場合は、増加額を増加概算保険料として申告・納付することとなっています。

 

■労働保険料の負担割合

 

 労働保険料は、労働者に支払う賃金総額に保険料率(労災保険率+雇用保険率)を乗じて得た額です。そのうち、労災保険分は、全額事業主負担、雇用保険分は、事業主と労働者双方で負担することになっています。

 

◎労災保険・・・全額事業主負担 ⇒ 労災保険率表(平成23年度(PDF:133KB),平成24年度~26年度(PDF:134KB)),平成27年度~(PDF:161KB))

◎雇用保険・・・事業主と労働者双方で負担

◎雇用保険率表  (平成28年4月1日改正)
事業の種類 保険率 事業主負担率 被保険者負担率
一般の事業 11/1000 7/1000 4/1000
農林水産
清酒製造の事業
13/1000 8/1000 5/1000
建設の事業 14/1000 9/1000 5/1000

 

■保険料の計算例

 

1年間に労働者に支払う賃金が310万円(従業員1名、毎月20万円×12ヶ月+賞与70万円)の小売業を営んでいる場合。

 

労災保険率 3.5/1000(小売業)

雇用保険率 11/1000(うち被保険者負担分は4/1,000)

労働保険料 = 賃金総額 ×(労災保険率+雇用保険率)

3,100千円(賃金総額)×(3.5+11)/1000(労災保険率+雇用保険率)=44,950円(労働保険料)

※この場合の事業主負担分は、雇用保険の被保険者負担分を除いた額となります。
この場合の被保険者負担分は

賃金種別

賃金額

被保険者負担分
(4/1,000)

回数

被保険者負担額

月分賃金

200,000円

月額800円

12回

9,600円

賞与(夏期)

300,000円

1,200円

1回

1,200円

賞与(冬期)

400,000円

1,600円

1回

1,600円

被保険者負担分計

12,400円

したがって、事業主負担分の労働保険料は、44,950円-12,400円=32,550円となります。

雇用保険の被保険者負担額と端数処理について

 雇用保険の被保険者負担額は、労働者(被保険者)に支払われた賃金額に被保険者負担率をかけて算定します。(なお、以前用いられていた一般保険料額表については、平成17年3月31日限りで廃止となりました。)
 この被保険者負担額については、事業主は、労働者に賃金を支払う都度、その賃金額に応ずる被保険者負担額を、賃金から控除することができます。

 この額に1円未満の端数が生じた場合、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」第3条に基づき、債務の弁済額に50銭未満の端数があるときには切り捨て、50銭以上1円未満のときには1円に切り上げることとなります。
 なお、この端数処理は、債務の弁済を現金で支払う時点で行うことから、雇用保険の被保険者負担額を賃金から源泉控除する場合には、事業主が被保険者に控除後の賃金を現金で支払う時点で端数処理を行うこととなるため、結果として50銭以下の場合は切り捨て、50銭1厘以上の場合は切り上げとなります。

 ただし、これらの端数処理の取扱いは、労使の間で慣習的な取扱い等の特約がある場合にはこの限りではなく、例えば、従来切り捨てで行われていた場合、引き続き同様の取扱いを行ったとしても差し支えありません。

3.労働保険料等の口座振替納付

 

 口座振替納付の概要

 

 労働保険料等の口座振替納付とは、事業主の皆様が、労働保険料や石綿健康被害救済法に基づく一般拠出金の納付について、口座を開設している金融機関に口座振替納付の申込みをすることで、届出のあった口座から金融機関が労働保険料及び一般拠出金を引き落とし、国庫へ振り替えることにより、納付するものです。

<口座振替による納付の主なメリット
 ・ 保険料納付のために、毎回金融機関の窓口へ行く手間や待ち時間が解消されます
 ・ 納付の”忘れ”や”遅れ”がなくなるため、延滞金を課される心配がありません
 ・ 手数料はかかりません
 ・ 保険料の引き落としに最大約2カ月ゆとりができます


詳しくは、口座振替にかかるリーフレットを御覧下さい。[674KB]

 

 口座振替納付の対象となる労働保険料等

 

継続事業(一括有期事業を含む。)に係る概算保険料及び確定保険料の不足額並びに一般拠出金、単独有期事業に係る概算保険料となります。

口座振替納付の対象となる労働保険料等
 継続事業
(一括有期事業を含む。)
 前年度の確定保険料の不足額

当年度の概算保険料
単独有期事業 当年度の概算保険料
一般拠出金 当年度の一般拠出金

 口座振替の申込

 

 口座振替納付をご希望される方は、口座振替納付開始を希望する納期に応じて、以下の締切日までに申込用紙(「労働保険 保険料等口座振替納付書送付(変更)依頼書兼口座振替依頼書」) に、必要事項をご参照の上ご記入いただき、口座を開設している金融機関の窓口にご提出ください。

納期 第1期 第2期 第3期 第4期
 申込み締切日
(金融機関の窓口あて)
 2月25日

8月14日

10月11日

1月7日

※1 手数料はかかりません。
※2 口座振替の申込み手続が完了した方は、金融機関の窓口で年度更新申告書の提出ができませんので、ご留意ください。
※3 口座情報(預金種別、口座番号、口座名義、届出印等)に変更が生じた場合には、申込用紙のデータ指示コード欄を『2 変更』として、金融機関の窓口にご提出ください。
※4 法人名の略語については  こちら をご参照ください。
※5 口座振替を行う口座名義が事業主名と異なる場合は「労働保険料等の口座振替納付に関する同意書」の管轄の労働局への提出が別途必要となりますので  こちら [36KB] をご活用ください。

4.成立手続を怠っていた場合

 

□成立手続を怠っていた場合の2つのケース

 

 1.成立手続を行うよう指導を受けたにもかかわらず、自主的に成立手続を行わない事業主に対しては、行政庁の職権による成立手続及び労働保険料の認定決定を行うこととなります。その際は、遡って労働保険料を徴収するほか、併せて追徴金を徴収することとなります。

 

 2.事業主が故意又は重大な過失により労災保険に係る保険関係成立届を提出していない期間中に労働災害が生じ、労災保険給付を行った場合は、事業主から遡って労働保険料を徴収(併せて追徴金を徴収)するほかに、労災保険給付に要した費用の全部又は一部を徴収することになります。

 

 ※労災保険未手続事業主に対する費用徴収制度が強化されました

 

 事業主が故意または重大な過失により、労働保険への成立手続を行っていない期間中に労働災害が生じ、労災保険給付を行った場合、事業主から(1)~(2)を徴収することになっております。

(1) 最大2年間遡った労働保険料及び追徴金(10%)

(2) 故意又は過失により、労災保険給付額の40%又は100%

 

■費用徴収の実施例

 

 A社では今まで労災事故を発生させたことがなく、また保険料の支払が負担になることから、労働保険(労災保険)の成立届手続を行っていなかった。

ところが、先般、従業員B(賃金日額1万円)が労災事故が原因で死亡し、遺族の方に対し労災保険給付として遺族補償一時金が支給された。

このようなケースでは、おおむね以下のとおり費用徴収が行われることとなります。

 

 故意の場合

 

 労災事故が起こる以前にA社が都道府県労働局の職員から労働保険(労災保険)の成立手続を行うように指導を受けていたにもかかわらず、その後も成立手続を行わなかった場合は、「故意」に成立手続を行わないものと認定され、保険給付額の100%の金額が費用徴収されることになります。

 

 遺族補償一時金の額(10,000円(労働者の賃金日額)×1,000日分)×100%=10,000,000円

 

 重大な過失の場合

 

 A社について、労災保険の成立手続を行うよう指導を受けた事実はないものの、労災保険の適用事業となった時から1年を経過してなお手続を行わない場合には、「重大な過失」により手続を行わないものと認定され、保険給付額の40%の金額が費用徴収されることになります。

 遺族補償一時金の額(10,000円(労働者の賃金日額)×1,000日分)×40%=4,000,000円

 

※この他にも、最大2年間遡った労働保険料及び追徴金(10%)を徴収することとなります。

 

 まだ成立手続を行っていない事業主の方は、速やかに所在地を管轄する労働基準監督署又はハローワークへご相談ください。