総則-国民年金事業の財政

 

国民年金事業の財政

 

 1.財政の現況及び見通しの作成

 

  (1)長期的に均衡の保たれたものでなければならず、著しくその均衡を失する   

   と見込まれる場合は、速やかに所要を措置を講ぜられなければならない

 

  (2)政府は、少なくとも5年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びに保険給付

   に要する費用の額その他財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間

   における見通し、「財政の現況及び見通し」を作成しなければならない

 

  (3)財政均衡期間は、財政の現況及び見通しを作成される年以降おおむね100

   年間とする

 

  (4)財政の現況及び見通しを作成したときは、遅滞なく、公表しなければなら

   ない

 

  *財政均衡期間の最終年度における積立金水準を支払準備金程度(給付費の約1

   年分程度)とする「有限均衡方式」に基づくものである(これに対して、「永久

   均衡方式」は、給付と負担の関係を永久に均衡させることである)

 

   この方式においては、5年ごとに行う財政の現況及び見通しの作成ごとに財

   政均衡期間を移動させ、常に100年程度の期間を見越して年金財政を見直す

   ことにより、将来にわたる均衡を確保することになる

 

 2.調整期間

 

  (1)財政均衡期間の終了時に保険給付の支給が生じないようにするために必要

   な積立金(年金特別会計の厚生年金勘定の積立金並びに責任準備金)を保有し

   つつ当該財政均衡期間にわたってその均衡を保つことができないと見込まれ

   る場合には、保険給付の額を調整するものとし、政令で調整期間の開始年度

   を定めるものとする

 

  (2)調整期間の開始年度は、平成17年度とする

 

  (3)調整を行う必要がなくなったと認められるときは、調整年度の終了年度を

   定めるものとする

 

  (4)調整期間において財政の現況と見通しを作成するときは、調整期間の終了

   年度の見通しについても作成し、併せて、公表しなければならない

 

   ①調整期間における保険給付の額の調整

 

    保険料負担能力の変化と平均寿命の伸びに伴う給付費の増加を年金改定率

    に反映させる「マクロ経済スライド」により行われる

 

    本来のスライド率(名目手取り賃金変動率又は物価変動率)に、調整率(公   

    的年金被保険者等総数の減少を反映させた率に平均的な年金受給期間、つ

    まり平均余命の伸びを勘案した一定率、当面は0.997を乗じた率)を乗じ

    た率が、実際のスライド率として用いられることになる

 

   ②調整期間

 

    平成17年度より開始されており、調整期間(向こう100年程度の期間にわ

    たって財政の均衡を保つことができるようにするために保険給付の額を調

    整する期間)とされ、保険給付の額の調整が行われる

 

   ③給付と負担の見直し

 

    「永久均衡方式」を改め、おおむね100年間で給付と負担の財政均衡を図る

    こととし、積立金は、その財政均衡期間の終了時に給付費1年分程度を保

    有しつつ、次世代以降の給付に充てることとした「有限均衡方式」を採用し

    ている

 

   ●給付水準の下限

 

    1)老齢基礎年金額(480月)と老齢厚生年金額の合計額に対する男子被保険

     者の平均的な標準報酬額から公租公課の額を控除して得た額の比率が

     100分の50を上回ることとなるような給付水準を確保する

 

    2)上記の比率が100分の50を上回ることが見込まれる場合には、調整期

     間の終了について検討を行い、その結果に基づいて調整期間の終了その

     他の措置を講ずるものとする

 

    3)上記の措置を講ずる場合には、給付及び費用負担の在り方について検討

     し、所要の措置を講ずるものとする

  

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